「芸は一流、ギャラは2流」と称したのは上岡龍太郎師匠である。 もちろん、この言葉は世間の評価に対して 「俺の価値がわからんか!」という芸人の自信、 矜持マンマンの台詞なのである。 芸人とは本来、自己顕示欲と独りよがりの自信を持つものである。 が、このところ、タレント本の世界では、 自称2流、3流を自らバカ正直に名乗り出るのが 一つの流れになっているのである。 今回紹介する「だめだこりゃ」は、 今やその渋い演技から 「日本のモーガン・フリーマン」と呼ばれるドリフターズのリーダー、 いかりや長介さんの自伝であり黄金のドリフ懐古録である。 ズバリ言って名著である。 しかし、この本、タレント本にありがちな豪快なる半生、 大いなる自慢話など一切無い。 なにしろ「音楽は4流、笑いは素人」と淡々と 自分を含めてドリフのメンバーの「だめだこりゃ」ぶりを書き連ね、 寄せ集め、不器用、芸無しぶりを延々と申告し