◆ ◆ ◆ 「妻妾同居」が機能していた 当時、一定以上の地位についた男がお妾さんを養うことは珍しくもなく、妻もそれをわかっていたので、「妻の運営する家族という組織にお妾さんがいる」のは不思議なことではありませんでした。 たとえば東邦電力などを興して「電力の鬼」といわれた松永安左エ門という人の妻は、自ら夫の妾を選んでいたといいます。本当に女好きでお妾さんがたくさんいた彼ですが、実は妻がすべて「この子はダメ、この子ならオッケー」と差配していた。さすがに妻が妾を選ぶというのは他に聞きませんが、実は渋沢家にも、千代と一つ屋根の下でともに暮らすお妾さんがいました。 明治4年、渋沢が31歳で大阪に赴任していたときに出会った、大内くにという女性。くにを現地妻とした渋沢は、千代の許可を得たのち神田の新居へ彼女を連れ帰り、同居させています。しかも2人はほぼ同時期に子どもを産んでいる。 千代、その妹、渋沢の妹
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