何事も自明と思っては読み間違う。むしろ、自明とされていることを掘り下げることで新たな知見は生まれる。経済学の言う「人は利益を最大化するよう行動する」のが真実なら、経営者がどんな投資判断をするかを解明する経営学は、ほとんど無用の存在になるが、逆に、そうでないことを経営学が実証したりすると、経済学は拠って立つ基盤を失い、あまたの理論が瓦解しかねない。実は、そんな緊張関係がある。 ……… 新進の経営学者である入山章栄先生が著した「世界の経営学者はいま何を考えているのか」は経営学の最新状況を案内してくれる楽しい本であり、経営学の将来への期待と意欲、そして、真摯さがにじんでいて、清々しい。私が特に興味を引いたのは、第12章の「不確実性の時代に事業計画はどう立てるべきか」であった。どうも、経営者は、不確実性の下では、段階的な投資をするものらしい。 入山先生も指摘するように、こうした行動は、実際の経営で
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