タイトルを読んで、「貧乏人は麦を食え」というセリフを連想された人は、かなりの年配の方だろう。所得倍増論で有名な故池田勇人は、大蔵(現在の財務)大臣だった1950年、「所得の少ない方は麦、所得の多い方はコメを食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」と国会で答弁した。これが「貧乏人は麦を食え」と報道され、批判を浴びた。 このセリフを思い出したのは、小麦の国際価格の高騰によって、パンなどの小麦製品の価格が上昇しているため、10月に予定されている小麦の政府売り渡し価格の改定では、政府はこれまでのルールに沿った引き上げを行うべきではないという主張が強くなっているからだ。現在、池田勇人がいたなら、別の主張をしただろうと思ったからである。 なお、小麦の政府売り渡し価格と聞いて、どうして政府が輸入された小麦を製粉メーカーに売り渡すのだろうかと意外に思われた人も多かったはずだ。実は、制度的には
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