就職活動も、そろそろ公式・非公式に内定が出はじめていて、大学のキャンパスでは、黒スーツに身を包み朗報を片手にスキップする者の姿がまぶしい。しかし、彼等の先輩たちの姿は対照的だ。何とか就職をして、予想通り「誰も助けてくれない世間」に放り出されて、己の自信と意欲が日に日にそがれ、こんなはずではとか、このままずっとオレはなどと、やはりぼんやりと電車に揺られる者たちの姿も、春霞にふっと立ち現れる。 ままならない仕事や人生にぶつかり、ふと立ち止まり、その原因を知りたくなるとき、苦しさも手伝ってある病気にかかるものだ。それは「今の自分は本当の自分じゃないんじゃないか」という不安に襲われる、「自己実現しなきゃダメじゃねぇ症候群」である。自己実現できない人生は負けの人生であって、学校を出て何年も経っているのだから、本来ならとっくに自己実現できていなきゃいけないのに、今なおもやりたいことが見つからずにいる、
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