実家のクローゼットの奥底から、写真アルバムが発掘された。 「Family」とプリントされた表紙のそれをどれどれと開いてみると 家具が盛大にひっくり返った写真ばかりで、こっちがひっくり返るかと思った。なんなんだ。家族を現代アート風に解釈した先鋭的なアルバムなのか。 母に聞くと 「阪神大震災の直後の家やわ。片づける前にパパが“今のうちに撮っとくんや!こんなん、なかなか見れへんぞ!”って言うから」 わざわざ一眼レフを探してフィルムを入れ、現像までしたというのだから、まあなんとも緊張感があさっての方角を向く家族である。ちなみに直前まで父は倒れてきたタンスの下敷きになっていたらしい。命があってなによりだが、なんでもネタに変えるのが早すぎる。 17年前にとつぜんこの世を去った父は、新しいものがとにかく好きで、流行の十歩先を行き過ぎては時代が追いつくのを待ちきれず「あいつらはなんもわかっとらん!アホや!