2010年上期の上場企業の経常利益は前年同期比8割増。しかし、先行きが不透明な中、給料を出し渋る企業も多い。「太っ腹な会社」を探った──。 山下 諭=文 政府は、2010年10月の月例経済報告で、景気の基調判断を「足踏み状態」になったと下方修正した。景気の下方修正は、リーマン・ショック後の急激な景気の落ち込みが続いていた2009年2月以来、1年8カ月ぶりだ。 足下では、超円高に見舞われ、世界経済危機後の牽引役となっていた中国経済の成長も鈍化しつつある。アメリカやEUは、通貨安のおかげで景気失速の一歩手前で踏みとどまっている。 「2010年9月に発表された日銀短観では、2010年度上期の企業業績は、6月の短観に比べて売上高、経常利益ともに上方修正となっています。しかし、下期は厳しい。例えば、大企業製造業の想定為替レートは、対ドルが89円44銭となっており、現在の80円台前半の水準から見れば