「性暴力」と「性犯罪」。この2つの言葉は似ているようで大きく異なる。性暴力とは、痴漢やセクハラ、相手に嫌な思いをさせる全ての性的な行為や発言を指す。そのうち性犯罪と認められ、加害者が処罰されるのはほんのひと握りに過ぎない。その理由のひとつは、被害者が声を上げるのが難しいことだ。「彼らは理由があって声を上げられない。けれど、そうした被害者のほうがはるかに多数派であることを知ってほしい」。こう話すのは2017年に日本で初めて法人化された性被害当事者らによる一般社団法人「Spring」代表理事・佐藤由紀子さんだ。自らも被害者である佐藤さんによれば、加害者を罰するには、もうひとつの大きな壁を越えなければならない。それが、刑法だ。刑法の性犯罪の規定は改正に向けた議論が佳境に入っているが、被害の実態がどこまで反映された内容になるのか、緊迫した議論が続いている。被害当事者の立場から改正論議に取り組むSp