日本刀は、刀剣の姿全体(体配・たいはい)と、地鉄(じがね)・刃文(はもん)などの部分とを総合的に鑑賞するものとされています。まずは、全体の姿ですが、これは反りの具合や刀身の幅・厚さ、鋒(きっさき)の形状などに刀剣の個性や時代差が表れてきます。 まず、反りについては、古いものは刀身の中心よりも手元に近いところに反りの中心がある腰反り(こしぞり)と呼ばれるものが一般的でした。とくに、平安時代後期のものは元(はばきもと)付近でかなり強く屈曲する一方、鋒近くでは反りがほぼなくなるという、いわゆる「うつむく」形状のものが多く残されています。同時に、刀身の幅(身幅・みはば)は手元の元幅に対して先端部の先幅が細い、いわゆる「踏ん張りのある」姿で、鋒も小さめの小鋒(こぎっさき)で、優美な印象をうけるものが一般的でした。 こうした平安時代の太刀の形状は、斬撃力を増すために腰元で反りをつける一方、刺突に有利な