吾輩は人間だった筈である。名前は《ナオヤ》。 そんな吾輩は今、どうやら猫になったらしい。 なぜ、そう思うのか? 理由は簡単だ。 部屋の慣れ親しんだ姿見鏡に写っているのは、某アイドルに似ていると噂の美青年ではなく、どう見てもモサモサとした毛に全身を包まれた四足歩行獣だからである。 『ニャア!』 姿形だけであれば超常的な光学現象であると曲解できなくもないが、 「なんという事だ!」 と発したはずの声さえも猫そのものになっている以上は、吾輩は猫になったのだと認めざるを得ない。 もっとも、それが神に与えられし試練なのか、それとも悪魔の呪いなのか、はたまた狂科学者の悪戯かまでは判らないが……。 そして、もう一つ明らかになった事がある。 それは、第三者から救出されない限りは、生きてこの場から脱出できないであろうという事だ。なにしろ、今の吾輩には首輪が嵌められているのだ。 しかも、ただの首輪ではない! そ