経済財政諮問会議などの合同会議は26日の会合で、オンライン診療の推進策を盛り込んだ中間整理を取りまとめた。2020年度の診療報酬改定を見据え、情報通信機器を使ったオンライン診療の実施方法などについて、必要な見直しの検討をするよう求めている。【松村秀士】 取りまとめたのは、経済財政諮問会議と未来投資会議、まち・ひと・しごと創生会議、規制改革推進会議による合同会議。会合後の記者会見で、茂木敏充・経済財政政策担当相が明らかにした。 中間整理では、オンライン診療を普及させるため、その実施の方法や体制などの要件について、必要な見直しの議論をするよう要望している。さらに、18年度の診療報酬改定で新設された「オンライン診療料」（月70点）に関して、その普及状況を調査・検証した上で、安全性や有効性が確認された疾患を同診療料の対象に追加することも検討すべきだとしている。 さらに、患者が診療から服薬指導までを

首都圏で咽頭結膜熱（プール熱）が再流行の兆しを見せている。12日から18日までの1週間の患者報告数は、埼玉県で倍増したほか、東京都と神奈川県でも増加。警報基準値を超える地域も出てきた。首都圏では5月から7月にかけて咽頭結膜熱が流行。その後は減少傾向となっていたが11月に入ってから報告が増えている。【新井哉】 この週の小児科定点医療機関当たりの患者報告数は、埼玉県で前週と比べて約2.1倍の0.54人を記録。本庄保健所管内で警報基準値（3.0人）に達した。　神奈川県は前週比約8％増の0.4人で、鎌倉保健福祉事務所三崎センター管内では警報基準値の2.5倍の7.5人となっている。 東京都は前週比約65％増の0.38人。3週連続で増加しており、荒川区保健所管内（2.75人）などで報告が目立っている。千葉県は前週と同じ0.45人で、4週前と比べて2倍近くになっている。 咽頭結膜熱は、アデノウイルスによ

厚生労働省は19日、2018年度診療報酬改定に伴う事務連絡「疑義解釈資料（Q＆A）その9」を各都道府県などに宛てて出した。看護補助加算の夜間看護体制加算における看護補助者の夜間配置について、看護補助者全員が夜勤時間帯に勤務する必要はないとしている。【吉木ちひろ】 看護補助加算の夜間看護体制加算は、医療機関が任意に定める夜勤時間帯のうち、看護補助者（みなし看護補助者を除く）を4時間以上配置する日が週3日以上あれば算定が認められる。今回のQ＆Aでは、看護補助者全員が夜勤時間帯に勤務する必要はないとの解釈を示した。 このほか、腹腔鏡下肝切除に関する施設基準のうち、「関連学会と連携の上、手術適応等の治療方針の決定及び術後の管理等を行っていること」の具体的な内容について、日本外科学会系のナショナルクリニカルデータベース（NCD）に18年11月時点で症例を登録し、「手術適応等治療方針の決定及び術後の管

国立感染症研究所がまとめた5日から11日までの週の5類感染症の患者報告（小児科定点医療機関約3000カ所、速報値）によると、感染性胃腸炎と咽頭結膜熱（プール熱）の定点医療機関当たりの患者報告数が4週連続で増加した。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は増加に転じた。手足口病とヘルパンギーナは減少した。【新井哉】 〔感染性胃腸炎〕報告数は前週比約31.4％増の5.44人。都道府県別の上位3位は、福岡（13.96人）、宮崎（12.74人）、大分（11.86人）。 〔咽頭結膜熱〕報告数は前週比約28.9％増の0.45人。過去10年の同期と比べて2番目に多い。都道府県別の上位3位は、鹿児島（1.35人）、新潟（1.32人）、福井（1.09人）。 〔A群溶血性レンサ球菌咽頭炎〕報告数は前週比約27.8％増の2.43人。過去10年の同期と比べて最も多い。都道府県別の上位3位は、鳥取（4.0人）、山口（3.87人

自らの努力では承認を受けることが困難な病院が存在している―。人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2の茨城県で、地域医療支援病院を目指す医療機関の前に承認要件が「高い壁」となって立ちはだかっている。16日に厚生労働省で開かれた「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」で、県の担当者が承認要件を巡る課題などを訴えた。【新井哉】 ■全国ワースト2の医師数、2医療圏で地域医療支援病院が未整備 地域医療支援病院の制度は、1997年の医療法改正で創設された。かかりつけ医らへの支援を行ったり、地域の連携を図ったりするため、▽紹介患者に対する医療の提供▽医療機器の共同利用の実施▽救急医療の提供▽地域の医療従事者に対する研修の実施―が「主な機能」となっている。 この日の検討会の会合で、茨城県の担当者が課題として挙げたのが、「紹介患者中心の医療を提供」「原則として200床以上の病床」などの

日本ビーシージー製造（東京都文京区）は16日、BCGワクチンについて、新製品の生理食塩液を添付して出荷したことを明らかにした。現行品から日本薬局方の規格値を上回るヒ素が検出されたことを踏まえた措置。早ければ20日にも医療機関に新製品が納入される見通しだ。【新井哉】 同社によると、ワクチン接種時に混ぜる生理食塩液のアンプル（ガラス容器）の先端をガスバーナーで熱しながら容器に封をする工程を経ると、規格値を上回るヒ素が検出されることが判明した。 同社は、ヒ素の量は「極めて微量であり、健康に影響のない量」と説明している。ヒ素検出の原因は、アンプルに含まれていたヒ素に由来していたため、ヒ素を含まないガラスで成型したアンプルに変更したところ、純度試験に適合することが確認できた。 新製品が届くまでの間、やむを得ず添付製品以外の生理食塩水を使う場合、「無菌の状態で正確に0.15mL量り取り、規定の手順でB

厚生労働省は16日、インフルエンザの発生状況を公表した。5日から11日までの週の全国の患者報告数（定点医療機関約5000カ所）は、前週と比べて約1.7倍の定点当たり0.35人となった。【新井哉】 都道府県別では、三重が1.43人で最も多く、以下は沖縄（1.36人）、奈良（0.82人）、島根（0.66人）、香川（0.64人）、埼玉（0.62人）、大阪（0.6人）、青森と宮城（共に0.54人）、福岡（0.48人）、千葉（0.47人）、茨城と熊本（共に0.46人）、東京と和歌山（同0.45人）などの順。34都府県で前週よりも増えた。 前週と比べて約2.6倍の患者報告があった奈良県は、「特に奈良市保健所管内（2.5人）で報告数が多い状態」と説明。予防については、ワクチン接種を推奨しているほか、人混みや繁華街への外出を控えるよう呼び掛けている。 インフルエンザ迅速診断キットの測定状況を公表している都

厚生労働省は14日、「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」の初会合で、外国人患者を受け入れる拠点となる医療機関の基準案を示した。都道府県単位で重症例の受け入れが可能な医療機関については、「多言語対応が可能」といった要件を設けた。2018年度中に都道府県が拠点となる医療機関を選定し、厚労省に報告する見通しだ。【新井哉】 外国人を受け入れる医療機関への支援や認証などを巡っては、観光庁が訪日外国人旅行者を受け入れる医療機関のリストを作ったり、日本医療教育財団が医療機関を認証したりしているが、情報が一元化されておらず、「医療機関や地方自治体からは、分かりづらいという声が寄せられてきた」（厚労省）という。 こうした状況を改善しようと、厚労省は、医療機関や地方自治体に加え、外国人患者や観光・宿泊業者、地域の住民などに対し、情報を分かりやすい形で提供する必要があると判断した。 厚労省は、

東京都は、アレルギー疾患医療の拠点病院と専門病院の公募を始めた。診断が困難な症例や標準的治療では病態が安定しない重症・難治性のアレルギー疾患について、患者が都内で専門的な医療を受けられる体制を整える。2018年度中に選定したい考えだ。【新井哉】 アレルギー疾患を巡っては、厚生労働省が17年3月に示したアレルギー疾患対策基本指針で、専門的な知識・技能を持つ医師が偏在していることなどに触れ、地域間で医療提供体制に格差があることを指摘。アレルギー疾患に関する医療全体の質などを向上させる必要性を挙げていた。 都は、厚労省の基本指針などを踏まえ、アレルギー疾患医療提供体制の整備に関する実施要綱を策定。拠点病院の役割として、▽重症・難治性のアレルギー疾患に対する診断、治療、管理▽診療連携の促進▽標準的治療の普及のための医師向け研修の実施―などを挙げている。 実施要綱に加え、拠点病院の選定要領も策定した

帝国データバンクの集計によると、2018年10月に発生した病院・開業医の倒産は病院1件、歯科医院1件で、負債総額は合わせて4億1000万円だった。【吉木ちひろ】 18年の倒産件数は上半期では1カ月当たり4－6件で推移していたが、7月以降は2件以下が続いている。10月までの累計では倒産件数が33件、負債総額は67億5800万円となった。 帝国データバンクの倒産集計は、破産や特別清算の法的整理が対象で、銀行取引停止などの任意整理は含んでいない。

国立感染症研究所がまとめた10月29日から11月4日までの週の5類感染症の患者報告（小児科定点医療機関約3000カ所、速報値）によると、感染性胃腸炎と咽頭結膜熱（プール熱）の定点医療機関当たりの患者報告数が3週連続で増加した。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、手足口病、ヘルパンギーナは減少した。【新井哉】 〔感染性胃腸炎〕報告数は前週比約6.4％増の4.14人。都道府県別の上位3位は、福岡（9.63人）、大分（9.11人）、宮崎（8.49人）。 〔咽頭結膜熱〕報告数は前週比約6.0％増の0.35人。過去10年の同期の平均値を上回っている。都道府県別の上位3位は、鹿児島（1.15人）、福井（0.95人）、福岡（0.82人）。 〔A群溶血性レンサ球菌咽頭炎〕報告数は前週比約1.0％減の1.9人。過去10年の同期の平均値を上回っている。都道府県別の上位3位は、鳥取（4.0人）、北海道（3.26人）、福

厚生労働省は12日までに、厚生科学審議会疾病対策部会の「リウマチ等対策委員会」がまとめた報告書を公表した。医療提供体制については、リウマチの専門医の地域偏在に触れ、医師の育成を進め、偏在を解消する必要性を挙げている。【新井哉】 報告書では、リウマチ患者に対する医療提供について、▽診療連携体制の在り方▽診療の標準化・均てん化▽年代に応じた診療・支援の充実―などの課題を整理し、それらの課題を解決する方向性を示している。 例えば、診療の標準化・均てん化に関しては、小児や高齢者などにおける最適な治療方法や、高額な生物学的製剤の使用方法の検討が「十分ではない」と指摘。薬物療法で疾患活動性が低下している患者への「薬物の減量・休薬・中止」に関する検討も不十分といった見解を示し、「関係学会は、国と連携し、診療の標準化を推進するため、診療ガイドラインを改訂し、普及させることが必要である」としている。 また、

日本学術会議は、サマータイムの導入に関する提言を公表した。サマータイムは睡眠障害のリスクや急性心筋梗塞の発生率を高めることなどを挙げ、「健康を障害する可能性が高いサマータイムの導入は、見合わせるべきである」としている。【新井哉】 提言では、2020年の東京オリンピックの暑さ対策とされているサマータイム導入案について、「国民にとっては、通勤通学時の暑さや、家庭で過ごす時間帯の暑さによる不眠や熱中症のリスクなど、不利な点が多い」と指摘している。 具体的には、生物時計の機能を阻害することを挙げ、「相当な期間にわたり睡眠不足を起こし、睡眠障害のリスクを高める」と明記。急性心筋梗塞が増える理由については、「起床時間が早くなり、まだ活動準備状態の段階にある循環器系機能に負担がかかる」といったことを挙げている。 また、2時間時刻を早めた場合、最も気温の高い時刻が午後4―6時ごろに移り、帰宅・下校のラッシ

建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査データ改ざん問題で、油圧機器メーカー「KYB」は12日までに、国土交通省の基準に合わない装置が使われた疑いなどのある5物件のリストを新たに公表した。医療機関については、2施設がリストに入っていた。【新井哉】 今回公表された医療機関は、▽市立恵那病院（岐阜県恵那市）▽多治見市民病院（同県多治見市）。 市立恵那病院については、基本設計（要約版）で「免震構造を採用し、病院機能を停止させない災害に強い構造計画とする」とし、大地震発生時にも「防災拠点」としての機能を維持すると明記していた。多治見市民病院も、充実した施設面の一例として「建物の免震構造」を挙げていた。

建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査データ改ざん問題で、油圧機器メーカー「KYB」は12日までに、国土交通省の基準に合わない装置が使われた疑いなどのある5物件のリストを新たに公表した。医療機関については、2施設がリストに入っていた。【新井哉】 今回公表された医療機関は、▽市立恵那病院（岐阜県恵那市）▽多治見市民病院（同県多治見市）。 市立恵那病院については、基本設計（要約版）で「免震構造を採用し、病院機能を停止させない災害に強い構造計画とする」とし、大地震発生時にも「防災拠点」としての機能を維持すると明記していた。多治見市民病院も、充実した施設面の一例として「建物の免震構造」を挙げていた。

厚生労働省は8日の厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会の会合で、医薬品などの添付文書に記載されている情報を電子的な方法で提供することや、製品への添付文書の同梱を廃止することを提案し、おおむね了承された。製品の最新情報をタイムリーに提供できるようにし、適正使用の推進につなげるのが狙い。【松村秀士】 医薬品の用法・用量、使用上の注意などについては、容器や被包に記載できない場合、添付文書として製品に同梱することを、医薬品医療機器等法で義務付けている。 しかし、厚労省によると、添付文書が頻繁に改訂される中、卸売販売業者や医療機関などの在庫品に同梱されている添付文書は改訂前の状態で、最新の情報提供という観点では必ずしも役に立っていないのが現状だ。また、同じ医薬品が医療機関などに納品されるごとに、添付文書が同梱されるため、資源の浪費につながるとの指摘もあるという。 これまでの同部会でも、「電子化に今

日本慢性期医療協会（日慢協）の武久洋三会長は8日の定例記者会見で、介護老人保健施設（老健）から介護医療院への転換を認めることを提案した。日慢協の調査結果によると、2018年度の介護報酬改定前後で老健の稼働率低下が見られたという。地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟入院料の要件となる在宅復帰率の計算対象から外されるなど、役割が問われる老健の今後の運営を危惧した。【吉木ちひろ】 武久会長は会見で、日慢協が18年7月に実施した「平成30年度介護⽼⼈保健施設の運営状況に関するアンケート」（会員および会員病院関連の老健150施設が回答）の集計結果について説明。それによると、18年度介護報酬改定前後の施設類型別ベッド稼働率の比較では、「超強化型」老健の20.0％が「ベッド稼働率80％未満」だった。「在宅強化型」老健でも58.3％が「稼働率90％未満」となっており、老健全体で見ると15年時点と

厚生労働省は9日、インフルエンザの発生状況を公表した。10月29日から11月4日までの1週間の全国の患者報告数（定点医療機関約5000カ所）は、前週比約11％増の定点当たり0.21人だった。【新井哉】 都道府県別では、沖縄が1.24人で最も多く、以下は三重（1.11人）、香川（0.51人）、熊本（0.45人）、山形（0.38人）、山口と鹿児島（共に0.36人）、大阪（0.35人）、岐阜と島根（共に0.34人）などの順。27都府県で前週よりも増えた。 この週の入院患者数については、前週比3人増の21人。今シーズン（9月3日以降）の入院患者の累計は138人で、このうち60歳以上が半数近くを占めた。 学級・学年閉鎖や休校となった施設数については、前週比6施設増の32施設だった。施設別では、小学校（21施設）が最も多かった。