●世界最低の科学リテラシーを如何に向上させるか? 近年、教育の場で「数学嫌い」「理科離れ」が大きな問題になっている。大学生の 学力低下は目を覆うばかりであるが、それ以上に、数学や理科を受験に必要な暗記科 目としか考えない傾向が広まり、その結果、高等学校における数学の達成度、理科系 諸科目の履修率が著しく低下している。 しかし、こうした問題の背後に、大人の側の自然科学に対する無理解、軽視があ る。数学や理科は一部の(普通とは変わった)理系人間だけが知っていればいいとす る風潮の影響が無視できない。大学の教養教育での科学教育はこうした現状を踏まえ て行う必要がある。 OECDの調査1)によれば、日本人の自然科学に対する関心・理解は欧米諸国よりか なり低い。しかも「学校を卒業して以降一度も2次方程式を解いたことがないから、 解の公式を学校で全員に教える必要はない」という某女史の発言に典型的に見ら