先月中旬に行われた安全教育で、厳しい表情で全現場作業員の前に立つ阿部玲子さん=写真中央(阿部さん提供) 日本の政府開発援助(ODA)の支援を受けて2006年に開通して以来、インドの首都ニューデリーで生活に欠かせない交通手段となっている地下鉄「デリー・メトロ」。現在も続くニューデリーと周辺地域をつなぐ延伸工事の現場には、唯一の日本人女性として工事現場を取り仕切ってきた土木技師、阿部玲子さん(46)の姿がある。約250人のインド人男性を配下に、メトロ完成に向けて奮戦中だ。(ニューデリー 田北真樹子) 「セーフティー・ベルト!」 ニューデリー市中心部に近い全インド医科大駅の地下構内。安全帯を着け忘れた作業員に、阿部さんの注意が飛ぶ。 阿部さんは総合建設コンサルタント会社「オリエンタルコンサルタンツ」の次長。小柄だが存在感は抜群で、現場に現れると、座って談笑していた作業員が気まずそうに動き出す。