タグ

ブックマーク / ast15.hatenadiary.org (52)

  • 月は無慈悲な夜の女王 - けれっぷ彗星

    映画化が決まったそうで。コロニー落としの元ネタとも言われる隕石落としは、今のハリウッド映画技術で映像化すれば、さぞよろしい絵と思う。ストーリー面は、いかにテンポよくできるかが課題だと思うけど。 月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748) 作者: ロバート・A.ハインライン,牧眞司,Robert A. Heinlein,矢野徹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/03/15メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 94回この商品を含むブログ (46件) を見る ハインラインの描く男性主人公って、「やたら有能だけど、一方で寂しい奴」なんだよね。「異星の客」でも「宇宙の戦士」でもいいんだけど、主人公はだいたい社会の上位数%クラスの、かなり有能な人間と思う。 例として「夏への扉」で考えると、主人公ダンは家事用のロボットを一人で開発して、友人と会社を立ち上げるレベルの人間。で

    月は無慈悲な夜の女王 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2015/03/08
    最後に「AI(機械)が自殺する」のはOZや超人ロック、テラへ等にも見られる結末が描かれるのは、「最も人間らしい行為」という自殺が都会でのシステムにおいて、非人間扱いされることへの批判でもあるのだろう。
  • 猫はささやく - けれっぷ彗星

    とうとう我が家にもネコがやってきた。あーかわいい。水槽やケージで飼えない生物を飼うのは初めてなので、色々お勉強中である。イヌはベジタリアンになれるけど、ネコは完全肉動物なのでベジタリアンにはなれない、とか(ネコは必須栄養素のタウリンを体内で合成できないので、肉をべる必要がある!)。ちなみに、カバーを外すと、おそらく原著の表紙が見え、かわいらしい。原題は"The Cat Whisperer"(意訳:はささやく)。いいなぁ。 ネコ学入門: 言語・幼体験・尿スプレー 作者: クレアベサント,Claire Bessant,三木直子出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2014/09/16メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る ネコの性格形成 おもしろかったのは、ネコの性格形成。ネコも人と一緒で、遺伝と環境とで性格が決まっていく。生まれつき、人懐っこいネコと、そうでもない

    猫はささやく - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2015/03/08
    ネコ様を満足させてあげないと、夜寝るときに後悔するのはこっちなのだ。
  • 社会を作れなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門 - けれっぷ彗星

    「社会を作れなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門」を読んだ。ずっと、このブログでは柳田國男のことを「ラスボス」呼ばわりしてきたけども、やっぱり、柳田國男はラスボスだった。これまで、遠野物語そのものとか、赤坂憲夫の遠野物語ガイドとか、中沢新一の南方熊楠とか読んでて、ああ、柳田國男って、ちょっと僕とは違うな、というか、すごくロマンが強くて、現実に対処するより、そういうロマン的なものに回帰するのが好きな人なんだな、っていう印象だった。だけど、それは実は一面的な見方で、そういうロマン主義的なところもひとつの極としてはあったけど、一方で超がつくほどのリアリストであり、実践主義者であったということだ。正直、もう柳田國男はいいかな、と思っていたところがあったのだけど、これはちょっと裏ボスというか、倒したと思ったけど、実は裏モードではぜんぜん歯がたたなかった!みたいな感じ。 社会を

    社会を作れなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2014/11/09
    読み進んで柳田國男がなにを実践してきたのかを見ていくと、ああ、確かにこの国は「社会をつくる」ことに失敗したんだな、とわかった。
  • どうやって今の我々があるのか?を忘れないために。 - けれっぷ彗星

    リョサの「緑の家」を読み終わる。「密林の語り部」が先で良かった。彼がどこを目指して物語を紡いでいるのかがわからないと、何のための物語か、きっとわからなくなってしまう。 緑の家(上) (岩波文庫) 作者: M.バルガス=リョサ,木村榮一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/08/20メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 90回この商品を含むブログ (52件) を見る 絡み合う複数のストーリーと時系列。「難解」というよりも、異なる登場人物による異なる場面をフラッシュバック的に見せられるために、物語が追いにくくなっている。ここでも「密林」「南米文学」というマジックワードが有効で、「わかりにくさ」はそのまま密林的(=現代の西洋社会が指向してきた一軸的な考え方に束縛されない)と理解される。 こうしたフラッシュバックのなかで立ち現れるのは、現代化した南米の都市(タクシーも走っている)や、

    どうやって今の我々があるのか?を忘れないために。 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2014/09/07
     リョサが危惧しているのは、近代化そのものなどではなく、近代化を南米がどう受け入れてきたのか、どうやって今の我々があるのか、という物語を忘却してしまうのではないか、というところにある。
  • コミュニティの再構築、という一番大切なところを物語る - けれっぷ彗星

    久しぶりの池澤夏樹。東日大震災後に書かれた一冊で、明確に震災のこと、震災に大きく人生を狂わされた人々、その後の人々のこと、が描かれている。ファンタジー調ではあるものの、書いてあることは大変現実的なことだ。 双頭の船 作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/02メディア: 単行 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る 「双頭」の意味するところ 特に、震災にあった人々が「それからどうするか?」というところをしっかり書いていると思う。土を求める人々、新たな航路を求める人々。いずれも肯定的に、いずれも懐疑的に書いているところは、真摯な態度と言える。 一番つらいのは、両者の分断だと思う。ある土地に留まる決意をした人々は、土地を離れる人々に「裏切られた」と感じることがあるかもしれない。新しい潮流を生み出そうとする人々、震災によって自分の為すべきことを見出した

    コミュニティの再構築、という一番大切なところを物語る - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2014/07/27
    望まれるのは、どちらの決断も尊重しあうべきだ、ということ。大切なのは、正しいことではなくて、正しいことなんか何ひとつわからない中で出した結論に対し、ちゃんと受け入れることだけ。
  • 春の新書祭り - けれっぷ彗星

    電車での長距離移動が増え、まとまった時間ができたので、親書をいくつか読んだ。企画中だった新書を増税前の3月までに出してしまおうという出版社の意図だろうか、ラインナップに興味を惹かれるものが多かった。 インフラの呪縛: 公共事業はなぜ迷走するのか (ちくま新書) 作者: 山岡淳一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/03/05メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るインフラ分野が政治に翻弄されてきたことがよくわかる。公共事業は、あるべき「必要性を検討し、優先順位をつけ、実行に移す」という当然のプロセスを踏まずに進んできてしまったけど、これからは、上の世代が造ってきたものを適切にメンテして延命していく以外には方法がないので、昔ほど「政治にとって旨みのある領域」にはならないだろうなあ。ただ、どこに選択して資を投下していくか、という「選択と集中」が国民から強く要請され

    gruza03
    gruza03 2014/05/01
    豊かな社会では、大都市的な価値観の人間も、地域から出たがらない「ヤンキー」も、どっちも成立し得るということと思う。
  • 願わくは、これを語りて平地人を戦慄せしめよ。 - けれっぷ彗星

    ついに遠野物語を読んだ。河童に天狗、こんな世界があるのかって感じで心地よい。でも、これって、なにが凄いんだろう?この疑問は間違いなく大切なんだよね。遠野物語を単純な昔話集として楽しむことができるだろうか?いやまあ、できると言えばできるけど、屋のベストセラーに並んでいる小説たちのように*1、「おもしろく」はないだろう。 遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫) 作者: 柳田国男出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2004/05/26メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 110回この商品を含むブログ (101件) を見る なにが凄いんだろう?この答えとして、文学として洗練されている、というのは1つあるだろう。刊行当時、島崎藤村や三島由紀夫は大変評価していたというから、そうなのだろう。僕もレヴィ・ストロースの「悲しき熱帯」を読んで、専門書としての価値ではなく、文学としての価

    願わくは、これを語りて平地人を戦慄せしめよ。 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/11/25
     場所によっては江戸時代以降、多くの地域では明治以降、都市の住民は豊かになっていく一方で、従来の地域コミュニティが持っていたものを次々に失い始める。ざっくり言えば「絆」だったり、固く言えば地域コミュニ
  • 沈まぬ太陽 - けれっぷ彗星

    ※この話はフィクションです、と常に表示される書だけれども、もちろん日航空をモデルとしている。理不尽な境遇に遭いながらも、社内の労働問題や不正を正していく恩地の物語。恩地さんマジスゲーっす。労働争議でいきなり委員長になって、社長にクリティカルな議論で刺していくとことか、社内の初ストをまとめ上げるとか。 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫) 作者: 山崎豊子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/11/28メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 181回この商品を含むブログ (223件) を見る 僕がまず感じたことは、こういう人物像は、これからの時代には今ひとつピンとこない存在だ、ということ。だいたい、「沈まぬ太陽」にせよ「下町ロケット」にせよ、確かに主人公すごいんだけど、彼らが「ヒーロー」足り得たのは、その時代だったからで、もちろん、違う時代であれば、別の形で傑出した人

    沈まぬ太陽 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/11/25
    アタリマエだろう。国全体が貧しくなれば、皆が「誰かが甘い汁を吸っている」と考える。それも間違ってはない。だけど、それってゼロサムゲームであって、全体のパイが小さくなれば、引き出し元も減ってくるだろう。
  • 「愛と経済のロゴス」はだいたい贈与論 - けれっぷ彗星

    カイエ・ソバージュ三冊目。あー、これはタイトルに負けちゃってる感あるなー。えっと、なにが不満かというと、風呂敷が小さいこと笑。「熊から王へ」はすごかった。東北だけでは飽きたらず、アリューシャンから環太平洋まで見て、人類普遍的に、「王はこうして生まれたのだ」という仮説を立てたものだった。王(≒国家、権力集中)というのは、「自然」由来の権力(原初においては、権力は「自然」の側が持っていたのだ!)を、コミュニティのリーダーが取り込むことによって成立した、という大風呂敷で楽しいストーリーだった。 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3) (講談社選書メチエ) 作者: 中沢新一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/01/10メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 26回この商品を含むブログ (34件) を見る 遡って、1冊目「人類最古の哲学」は明解だった。中沢さんの考え

    「愛と経済のロゴス」はだいたい贈与論 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/11/25
    生態学を学べば、無限に供給されているように見える場合でも、物質の循環はどこかでinflowとoutflowのバランスを取っていることがわかるから、純粋贈与という概念とはそもそも相容れないのである
  • ローマというシステムの強さ - けれっぷ彗星

    ついに「ローマ人の物語」を読み始めた。最近はてきとーなBOOKOFFに入ると、1〜5巻くらいまではそれぞれ100円で手に入る。以降の巻はなかなか難しいっすね。とりあえず、プロローグ的な「ローマは一日にして成らず」(1,2巻)と「ハンニバル戦記」(3〜5巻)を読む。プロローグはともかく、ハンニバル戦記はめちゃくちゃオモシロイなこれ。 ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫) 作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/06/01メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 114回この商品を含むブログ (259件) を見る 以前、伴読部で東インド会社のを読んだことがあって、あのとき、「征服よりも平和を評価しています」という書簡が印象に残っている。つまり、先入観としてもっていた欧米の貿易会社=帝国主義を指向していたなんか悪いやつら、という図式はど

    ローマというシステムの強さ - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/09/01
    道は軍隊の輸送を高速にするためのものであって、それと同時に地方のインフラ整備も兼ねている。ローマが他の民族、他の国家と築いているネットワークそのものが、ローマの強みなんだ。/日本にも同種の傾向
  • 遠野物語は、民俗学のテキストなんかではない - けれっぷ彗星

    レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」、岡太郎が求めた民族学、南方熊楠の民俗学を辿ってきて、やはり、どこにでもその影を落とす柳田國男。日で民俗学を考える上で外すことができない巨人だっていうことはわかるんだけど、とりあえず手にとった遠野物語は数十ページでの挫折。僕が柳田國男からこの領域に入り込まなかった理由はもはや明確だ。「柳田國男が人々の激しい競争の歴史を見出したものに、南方熊楠がただのリアス式海岸を見た」というエピソードは象徴的で、柳田國男は、現実をしっかり見据えようとする観察と科学をベースとするリアル重視の見方をしなかった、ということ。 柳田国男を読む (ちくま学芸文庫) 作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/07/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (7件) を見る 柳田國男が持っていた文学の磁場はあまりにも強くて、ぼけっとしてると、みんなそこに回収さ

    遠野物語は、民俗学のテキストなんかではない - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/09/01
    柳田國男が信じていたのは、日本民族の祖先は単一であって、その祖先は西からやってきた、という壮大なストーリーらしい。これは、やっぱりラスボスですね。
  • SFの定義は世界フリーク、だと思う - けれっぷ彗星

    SFの定義は世界フリーク(Sekai Freak)、だと思う。サイエンス・フィクションとか、すこし・ふしぎ、とか、まあ色々な定義があるけども、やっぱり僕にとってのSFは、世界の原理のようなものを変えてみて、そこでどんなことが起こるか観察するという箱庭観察であって、世界レベルでのシミュレーションである。いつか「SFは世界設定で物語るべきだ」とも書いたことがあるが、誰がなにをした、という物語よりも、こういう設定にしたところ、登場人物はこのように振舞うことになった、という文脈であるべきなのだ。そういう意味でSFには、色々な世界を鑑賞し、にやにや眺めているマニア、フリーク的なところがある。だから、必ずしもワープ航法が可能な宇宙船だとか、人間に近接するAIだとか、そういうものは必ずしも必要ない。世界を語るのであれば、現実には存在しないルールを立ててみてシミュレーションすることも、やはりSFである。

    SFの定義は世界フリーク、だと思う - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/07/23
    どこまでが都市Aで、どこからが都市Bなのか。その境界は行政区ではないかもしれない。景観と人の視線をコントロールすれば、都市を分断できるのだ。都市は、都市であるという認識によって成立している。
  • 「壁と卵」の現代中国論 - けれっぷ彗星

    このを初めて開いたのは、ちょうどPM2.5が話題になっている頃だった。とある部品メーカーさんとお仕事をしていて、栃木にある工場にいたのだけれど、花粉なのか、黄砂なのか、それともPM2.5なのかわからないけれど、マスクを外すと目がシバシバするのだ。空が霞がかって見える。中国に対する反感が、マスコミを覆っている。自分のなかにも流れこんでくるのがわかる。でも、よく考えてみると、いま自分のしている仕事中国にある工場のためだった。日にあった工場を中国にいくつも移転している。そうしなければ価格は維持できない。アタリマエだ。ただそれは、問題を外側に移転している。遠くに追いやったはずの大気汚染が舞い戻ってきている。地球環境がリスクを「再分配」している。まったくロジカルではないのだけど、そんなふうに思えてしまう。 「壁と卵」の現代中国論: リスク社会化する超大国とどう向き合うか 作者: 梶谷懐出版社/

    「壁と卵」の現代中国論 - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/06/12
    「中国では、地域社会が政府権力とは自律的に成立してきたっぽい」ということ。ようは「究極の小さな政府」のよう。そういう「自由な専制」、そういう考え方っていうのは、「左」か「リベラル」
  • イザベラ・バードという素敵な人物について - けれっぷ彗星

    東北のことをもっとよく知りたい、と思ったのは、やはり震災がきっかけだっただろうと思う。震災があって、東京と東北がどうつながっているか、というパスに敏感になった。東北から東京には人が運ばれてきている。農作物や魚介類も運ばれてきている。工場からは部品や製品が運ばれてきている。それはあたかも「工場」のようだ。今のは政治家が言えば失言かもしれない。 ともあれ、東京と東北の結びつきの強さは、関西や東海の比ではないだろう。そういう「東北」のことをよく知らないのだ、というのは少しショックであった。地域特性に沿った技術や社会が望ましいと思っているくせに、自分にかかわりのある具体的な地域のひとつも「知らない」なんて。 地域の特性を深く理解するのは、たぶん、とてもむずかしい。地域振興協会がPRしているものは、ほんとうに地域の魅力なんだろうか。経済的な成功だけをゴールと捉えるなら、みんなの視線を気にしないといけ

    イザベラ・バードという素敵な人物について - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/03/31
    皆幸せそうだ、というような視点もたまに見出されるが、それは、現代の旅行者が現地のことを深く内面化しないまま、自らの幻想を押しつける姿勢とは異なる。
  • 「下町ロケット」をそうやって消費する日本社会が怖い - けれっぷ彗星

    「下町ロケット」(池井戸潤)読了。 あー、すごくオッサン受けしそうな物語だな―と思った。 下町ロケット 作者: 池井戸潤出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/11/24メディア: ハードカバー購入: 20人 クリック: 404回この商品を含むブログ (196件) を見る なんていうか、この物語がどういう文脈で消費されてきたのか、というのはとてもよくわかる。直木賞の受賞は未確認だけど震災うんぬんあるだろうし、まあ置いておくとしても、なんでこのがベストセラー足り得たのか、という意味で。一言で言えば、オッサンが飲み会で新入社員に上機嫌で薦めるだ。やっぱり日企業はこうでなくちゃならない。我々のプライドはこういうところにあるんだ、って。 幸か不幸か、僕はこのをそういう流れで手にとったわけではないし、それが嫌だと感じることもない。ただ、その文脈での「日再生」はないだろうなあ、と思うだ

    「下町ロケット」をそうやって消費する日本社会が怖い - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/02/17
    ぜんぶ棚上げにしておいて、「夢と意地と根性」でクリアしてしまうのは、運が良かったとしかいうほかない。そういう意味で、リアリティに乏しい。/「今にも崩れそうな足場の上」というメンバーシップ型雇用への視点
  • 世界の経営学者はいま何を考えているのか - けれっぷ彗星

    「世界の経営学者はいま何を考えているのか」(入山章栄)読了。 アメリカの経営学者はドラッカーなんか読まない。 世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア 作者: 入山章栄出版社/メーカー: 英治出版発売日: 2012/11/13メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 10人 クリック: 92回この商品を含むブログ (59件) を見る アメリカの経営学者はドラッカーなんか読まない こののキャッチコピー。世界的に見るとそうじゃないんだよ、という煽り文句は、卑弥呼さんが金印貰ってる時代から、アメリカのお伺いを立てないと外交政策立てられない時代に至るまで、辺境人たる日人には絶大な影響力の武器なわけですね。まあそうだろう、というか、別に驚きはしないんだけれど、じゃあむしろ経営学ってなんなの?どういうアプローチがあるんだろうね?というところが気になるわけだ。

    世界の経営学者はいま何を考えているのか - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/02/17
    アメリカの経営学者はドラッカーなんか読まない 世界的な」潮流では、むしろ複数の企業をサンプリングして統計解析→一般的な傾向をつかむ、という方法が主流なんだという。/思考の型を身に付けるのではない。
  • 目薬αで殺菌します - けれっぷ彗星

    「目薬αで殺菌します」(森博嗣)読了。 Gシリーズ7作目。以下、ネタバレあります。αのラベルがついた目薬に、劇薬が混入されている事件が起こるお話。もちろんそこには真賀田四季の影が。 目薬αで殺菌します DISINFECTANT α FOR THE EYES (講談社文庫) 作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/12/14メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る 個別の事件には興味がなく、四季の行動を追うだけの考察 そうか、加部谷さんは海月だったのか…かわいいなあ。というのは置いといて、αの事件が「テスタのようなもの」、つまりなんらかの組織が、個人に対して確実に命令を伝達し実行されるかの試験だった、という解釈はまあ、そうだろう、と。同じ結論に達していた。 ただ、計画実行の時間スパンが極めて長い理由が、「寿命の問題が解決されている」というのは、そうか?と思

    目薬αで殺菌します - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/02/03
    人格をほぼ完全に再現できる、というアイデアは森ミステリでは以前からあって、四季シリーズの冬、とかかなあ?ざっくり言えば、○○さんだったらこういうふうに行動するだろう、という思考の究極形というか。
  • 世界の化けの皮ひっぺがしちゃいますよ! - けれっぷ彗星

    「百年の孤独」(ガルシア・マルケス)読了。 僕の解釈→「マジックリアリズム」=「世界の化けの皮ひっぺがしちゃいますよ!」 百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez) 作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,鼓直出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12/01メディア: 単行購入: 25人 クリック: 269回この商品を含むブログ (277件) を見る 人間ひとりを1つのまとまりだと捉えるのは、必ずしも「自然な」アイデアではないらしい。アニミズムの研究とかをしている人の話を聞くと、「個人」というのはあくまでも西洋が「発明」した概念で、自分と他人の境界というのは、それほどまでに明確ではなかったとか。 もし、そうした考え方が有効であれば、家族、あるいは家(というよりイエ?)、もしくは地域をあたかも一人の登場人物のよう

    世界の化けの皮ひっぺがしちゃいますよ! - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/01/25
    家族、あるいは家(というよりイエ?)、もしくは地域をあたかも一人の登場人物のように描くこともできるだろう。そして、総体として孤独を感じることさえできるかもしれない。/社会有機体三分節
  • 柳田國男が競争の歴史を見出したものに、南方熊楠はただのリアス式海岸を見た - けれっぷ彗星

    「森のバロック」(中沢新一)読了。 南方熊楠が「巨人」と言われる理由が、わかった。 森のバロック (講談社学術文庫) 作者: 中沢新一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/11/10メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 28回この商品を含むブログ (39件) を見るはじめての南方熊楠。鶴見和子の南方熊楠 地球志向の比較学 (講談社学術文庫)とも迷ったんだけど、やっぱり細部に拘らず楽しく読むなら中沢さんでしょう、ということで。まあ、事実の回収は後からでもいいし、たぶんたくさん先入観を植え付けられるけど、自覚があればなんとでもなるだろう。 柳田國男が人々の激しい競争の歴史を見出したものに、南方熊楠はただのリアス式海岸を見た 僕が知っている南方熊楠は、粘菌の研究者というか、博物学から植物学へのシフトが起こる時代に、ちょうど粘菌を調べていたナチュラリスト(この表現が一番しっくりくる)と

    柳田國男が競争の歴史を見出したものに、南方熊楠はただのリアス式海岸を見た - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/01/25
    世界はそもそも多様で残酷だから。ロマン的な方向やイデオロギーっぽい方向に逃げると、そうしたものに目を向けなくて済むようになる。でも、それじゃあダメだ。
  • 婆のいざない - けれっぷ彗星

    「婆のいざない」(赤坂憲雄)読了。 悲しき東北、といったところだろうか。 婆のいざない―地域学へ 作者: 赤坂憲雄出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2010/03/01メディア: 単行 クリック: 17回この商品を含むブログ (7件) を見る 赤坂憲雄の著書は初めてだけど、東北学を提唱した人物であることは知っている。地域学は学際的なアプローチ、つまり対象を固定していろんな角度から眺めてみる、という手法を取る。このアプローチが最終的に辿り着くのは「やっぱりみんな違うよね」というところ。あるいは「そうは言ってもみんな違うはずだ」という確信や哲学がそういうアプローチを取らせるのか。 BGMはひたすら姫神。好きなんだよね、こういうの。 東北は辺境ではない これまで東北が語られるとき、常に京都や奈良と対称的に語られてきた。東北は辺境であった。でも、そうではない。そうではない、というか、そう捉える

    婆のいざない - けれっぷ彗星
    gruza03
    gruza03 2013/01/10
    東北は辺境であった。でも、そうではない。中世以前の東北には非差別集落が存在しなかった。中心と辺境という対比を捨て、複数の中心があった、という視点に立つことによって、こうした「問い直し」が生まれている。