ついに遠野物語を読んだ。河童に天狗、こんな世界があるのかって感じで心地よい。でも、これって、なにが凄いんだろう?この疑問は間違いなく大切なんだよね。遠野物語を単純な昔話集として楽しむことができるだろうか?いやまあ、できると言えばできるけど、本屋のベストセラーに並んでいる小説たちのように*1、「おもしろく」はないだろう。 遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫) 作者: 柳田国男出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2004/05/26メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 110回この商品を含むブログ (101件) を見る なにが凄いんだろう?この答えとして、文学として洗練されている、というのは1つあるだろう。刊行当時、島崎藤村や三島由紀夫は大変評価していたというから、そうなのだろう。僕もレヴィ・ストロースの「悲しき熱帯」を読んで、専門書としての価値ではなく、文学としての価
※この話はフィクションです、と常に表示される本書だけれども、もちろん日本航空をモデルとしている。理不尽な境遇に遭いながらも、社内の労働問題や不正を正していく恩地の物語。恩地さんマジスゲーっす。労働争議でいきなり委員長になって、社長にクリティカルな議論で刺していくとことか、社内の初ストをまとめ上げるとか。 沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫) 作者: 山崎豊子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/11/28メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 181回この商品を含むブログ (223件) を見る 僕がまず感じたことは、こういう人物像は、これからの時代には今ひとつピンとこない存在だ、ということ。だいたい、「沈まぬ太陽」にせよ「下町ロケット」にせよ、確かに主人公すごいんだけど、彼らが「ヒーロー」足り得たのは、その時代だったからで、もちろん、違う時代であれば、別の形で傑出した人
カイエ・ソバージュ三冊目。あー、これはタイトルに負けちゃってる感あるなー。えっと、なにが不満かというと、風呂敷が小さいこと笑。「熊から王へ」はすごかった。東北だけでは飽きたらず、アリューシャンから環太平洋まで見て、人類普遍的に、「王はこうして生まれたのだ」という仮説を立てたものだった。王(≒国家、権力集中)というのは、「自然」由来の権力(原初においては、権力は「自然」の側が持っていたのだ!)を、コミュニティのリーダーが取り込むことによって成立した、という大風呂敷で楽しいストーリーだった。 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3) (講談社選書メチエ) 作者: 中沢新一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/01/10メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 26回この商品を含むブログ (34件) を見る 遡って、1冊目「人類最古の哲学」は明解だった。中沢さんの考え
部下の能力と生産性を上げるために、上司がまずやるべきは「問いかけによる対話」であるという。ごくシンプルな問いかけが、よきマネジメントへの道を開く。 自分の部下やチームに、次のシンプルな質問を最後にしたのは、いつだろうか。 「あなたが力をつけるために、何か私に手伝えることはありませんか?」 優れた上司でいるために、これ以上に重要な質問があるだろうか。部下をうまく管理し導くためには、彼らが仕事で何を必要としているのかを把握しなくてはならない。だからこう尋ねるのは当然なのだが、現実には、上司によるこの問いかけは十分になされているとは言いがたい。 この質問には、特にはじめのうちはさまざまな回答が返ってくるだろう。まず、無反応の場合がある――「ないよ、そんなもの。こっちに構わないで、自分の仕事に専念してくれ」と心中つぶやく部下もいるだろう。そして、たいして力になれない要求も寄せられる。プライベートの
先進国の人口が減れば、富の分配の状況も変わる。第2の分野「人口動態と富」、3つ目のメガ・トレンド「富の再配分」は都市型消費者を増やすポジティブな面と、所得格差の拡大などネガティブな面の両方をもたらす。2040年の世界を示すブーズ・アンド・カンパニーの好評連載、第8回。 第5のメガ・トレンド 富の再配分(Redistribution of Wealth) 富の再配分に関しては、ポジティブな側面は新興国における消費者人口の増加というかたちで進展し、ネガティブな側面は新興国内における所得格差の拡大というかたちで発現する。 2040年には中国のGDPは世界第2位となり、インドも第3位になると予測される(図表1参照)。日本は国全体のGDPではアメリカ、中国に大きく差をつけられるが、1人当たりGDPは2040年となっても高い水準を維持する。富裕度は高いが中規模で低成長な市場ということである。一方の中国
*08:09JST 株式市場で日本人のデフレマインドはまだ変わっていない 先週日経平均株価は15300円台に乗せ半年間の三角保ち合いを上抜けした。しかし、11月第2週の投資主体別売買動向で明らかになったところによると、日本の個人は歴史的な1兆円を超える売り越しだったことが明らかになった。年でみても6兆円も売り越している。証券優遇税制が本年で終了するという影響もこともないではないが、節税対策「だけ」なら売って利益を確定した後、買い戻すはずである。バブル崩壊後基本的に株価は右肩下がりとなり、デフレ状況が続いたことを受けて、日本人は「株価は結局のところ下がる」というマインドにどっぷり浸りきっているようだ。現在、日本株を買っているのはほぼ外国人だけである。米国やドイツは「史上最高値」を更新し続けているが、日本はバブルがあったとはいえ(米国にもバブルはあった)最高値の2分の1を大きく下回る水準でグダ
「最近の北海道内倉庫のトレンドを教えて欲しい」といった質問を物流事業者から受けた。倉庫を保有する道内の事業者をまわって受ける印象を振り返ると、ここしばらくは「預かる荷物はそれなりに増えてきているが、まだスペースが空いているので埋めたい」といった感じの話が多いように思える。 定量データを見ても、同じような傾向がうかがえる。北海道運輸局のデータによると、札幌所在の19事業所の普通倉庫保管残高は、平成22年度で13万8445トン(前年比95.0%)。これが同23年度は14万6498トン(同105.8%)、同24年度は16万6740トン(同113.8%)と堅調に増えており、利用率でも82.4%、84.9%、86.2%と毎年高まっている。これは、貯蔵槽倉庫や冷凍倉庫でも同じような傾向で、北海道経済全体が縮んでいる中でも、倉庫の利用状況はそれなりに好調のようだ。 実際、苫小牧を拠点として「東北の復興関
[東京 25日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末のニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の101円後半。株高トレンドの継続で上昇に弾みが付き、101.91円付近まで上昇して約半年ぶりの高値をつけた。月末に決算を控えたファンド勢が執拗に円売りを繰り返し、ドル/円、クロス円ともに底上げされた。 五・十日に当たるこの日は序盤に輸出勢の売りが観察されたが、中値では実需の買いが流入した。日経平均株価<.N225>が一段高になるとドル/円は上値追いとなり、7月8日の高値101.54円を上抜けるとストップロスを巻き込んで上昇した。午後の取引では、欧州勢の参加を受けて一段高となり、一時101.91円付近と、5月29日以来の半年ぶり高値に到達した。ただ、102円手前ではオプション関連のドル売り需要があるとみられ、102円乗せの場面では、売買の攻防戦が激化するとみられている。大手信託銀行
なぜ「経済科学賞」と呼ばれるのか 私は今年のノーベル経済学賞をシカゴ大学のユージン・ファーマ、ラース・ハンセン両教授とともに受賞した。が、受賞を通じて、経済学は同じくノーベル賞の対象である化学や物理学、医学と違って、科学ではないという批判を強く意識することになった。はたして、この批判は正しいのだろうか。 経済学の問題の一つは、どうしても基本原理の発見よりも政策に焦点を合わせるということだ。政策に対する指針としてでなければ、誰も本気で経済データを気に掛けたりしない。経済現象は、原子の内部共振や小胞体などの生体細胞小器官の機能のように自然に人を魅了することはない。経済学は何を生み出すことができるかで判断される。なので、経済学は物理学よりは工学に近く、精神的というよりは実践的である。 ノーベル工学賞はないが、あってしかるべきだ。確かに今年の化学賞は少しばかり工学賞めいている。というのは研究者3人
(2016年7月17日からカウント) ☆論評「知的退廃と思考停止をもたらす『デフレ不況』という言葉」 (2013年2月2日初稿、何回かの改定後の10月18日に確定) 経済ジャーナリスト 今田真人 昨年末から、私は、ある問題で憂うつな状態が続いています。 というのは、昨年末の総選挙を前後して、日本共産党の志位和夫委員長が突然、現在の日本の深刻な経済危機を「デフレ不況」であると規定をするようになったからです。 この結果、同党の機関紙・雑誌などが、いっせいに右へならえをし、これまで、まったく使ってこなかった「デフレ不況」とか「デフレ(デフレーションの略)」とかいう言葉を、洪水のように使い始めました。 そして、この「デフレ不況」という現状分析は、昨年の総選挙の同党の公約の一番目に、堂々と書き込まれてしまいました。 同党の「自浄作用」を信頼していた私は、年が開ければ早々にこの誤りはただされると期待し
(2016年4月12日からカウント) ☆論評「日本の物価下落をなぜ、デフレと呼んではいけないか」 (2012年8月1日初稿、何回かの改定後の8月4日に確定) 経済ジャーナリスト 今田真人 2000年ごろから始まった日本の継続的な物価下落が、いまだに止まりません。〈注1〉 そして、この物価下落の原因をめぐって、さまざまな主張がされています。なかでも、この物価下落を「デフレ(デフレーションの略、deflation)」と定義することが、流行のようになっています。 しかし、この物価下落を「デフレ」と定義することは、いくつかの意味で、理論的な危険性を持っています。 日本の現代史上の3回の「デフレ」現象の詳しい説明は、新著『円高と円安の経済学ーー産業空洞化の隠された原因』に譲ります。 ここでは、現在の日本の物価下落をなぜ、「デフレ」と呼んではいけないのか、その理由をのべたいと思います。 〈デフレは、通
今年度の税収は財務省予測より大幅に上振れしています。 この上振れした税収額から推定される税収弾性値は約3です。 この税収弾性値は財政政策立案の重要なファクターですが、従来から財務省や関係研究者が主張する税収弾性値1.1を根拠に消費税増税を主張することは大変危険です。 今年度の税収が政府見込みから大幅に上振れするとの報道がなされています。 2013年度の国の一般会計税収が、今年1月時点に見込んでいた43.1兆円から2兆円上ぶれし、45兆円台になる見通しとなった。複数の政府筋が明らかにした。アベノミクスによる円安、株高を背景に企業収益が改善し、法人税収が増えた。 政府は12月5日に新たな経済対策を策定、12日に5兆円規模の補正予算を編成する。今回の上振れ分に加え、12年度決算の剰余金や復興特別会計の使い残し、国債費の不用で5兆円余りを確保、国債の追加発行見送りが確実となった。 政府筋によると、
大手コンビニチェーンが、「いれたてコーヒー」を巡り、熱い販売競争を繰り広げている。きっかけは、最大手、セブン-イレブンが今年から展開している「セブンカフェ」。発売から7か月で累計1億杯を突破する大ヒットとなっており、セブンの「一人勝ち」を阻止しようと、他チェーンも知恵を絞る。 セブンカフェは今年(2013年)1月開始。レジで注文してコーヒーカップを受け取り、店頭に設置している専用機器にカップを置いて、ボタンを押して抽出するセルフ式だ。「ハイグレードなアラビカ豆100%使用」「1杯ごとにペーパードリップ」という特徴に加え、ホット、アイスともレギュラーサイズはそれぞれ100円という「お手頃価格」が消費者に受け入れられている。 最後発でもトップランナー 都心部の店舗では、出勤前や昼食時に、1杯100円のコーヒーを求める男性会社員やOLで、カウンター前が混雑するほどの人気ぶり。「朝の1杯」や「食後
自販機ジュース、増税で130円に 端数切り上げを申請 1 名前:影のたけし軍団ρ ★:2013/11/24(日) 17:51:52.38 ID:???0 来年4月の消費増税にあわせ、自動販売機で売られる飲料の一部が10円値上げされる見通しになった。いまは150円で売られているペットボトル入りのお茶などは160円になる。 ただ、すべての商品を一律10円上げてしまうと、増税分よりも値上げ幅が大きくなり、「便乗値上げ」になるおそれがある。このため、多くのメーカーは、一部の商品の価格を据え置く見通しだ。 販売数が多い缶コーヒーや缶ジュースなど120円の商品の一部は、130円に上がる。 税引き前の 希望小売価格をもとに、120円の缶コーヒーの消費税率8%での税込み価格を計算すると、124円になる。 増税分を転嫁した場合の売値は4円しか上がらず、値上げ幅は10円に満たない。 だが、 自販機では1円単位
16日エントリで紹介したコクランのブログエントリを巡る論争に関連して、Stephen Williamsonが自ブログでエガートソン=クルーグマン論文について改めて評価を下している。彼は論文の概要を紹介した上で、ニューケインジアンモデルの需給ギャップの“問題”を以下のようにまとめている。 If we're at the zero lower bound, and the real interest rate is too high in this environment, then essentially we have a consumption gap, not an "output gap." If the government spends more, that doesn't shrink the consumption gap. (拙訳) ゼロ金利下限にあり、実質金利が経済状況に
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