人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」を原作とし、昨年初演された「能 狂言『鬼滅の刃』」が、今年は名古屋市を含む4都市を巡回している。演出を担う上で心を砕いたのが「漫画のリアリティーを、能楽の手法でどう表すか」。漫画の世界と、600年以上続く古典芸能の世界とを橋渡しする。 原作のうち、家族を鬼に殺された主人公の竈門(かまど)炭治郎が「鬼殺(きさつ)隊」に入り、仲間と共に「那田蜘蛛(ぐも)山」の鬼を退治するまでの話を、能と狂言に落とし込んだ。炭治郎をシテ方観世流の大槻裕一、仲間の我妻善逸を息子の野村裕基が演じるなど、若手も多く活躍する。