安政2年(1855年)、江戸で発生した安政地震の被害などを伝える瓦版(縦37センチ、横94センチ)が、当時、高瀬舟の総元締をしていた岡山県新見市新見の薬局経営井上隆生さん(67)方で見つかった。 和紙に5色刷りした木版画で、記事とともに炎を上げる江戸中心部が描かれ、混乱の様子を詳しく伝えている。 井上さん方は、宝暦4年(1754年)、「伏見屋」として開業。参勤交代の武士や荷物を運ぶ新見藩の仕事を手がける一方、鉄や米を積み出し、明治以降も木炭などを輸送、伯備線開通の昭和3年(1928年)まで営業した。 高瀬舟の手配をした船割帳など江戸―昭和の文書約1500点が残っており、井上さんが同市哲多町の郷土史家田仲満雄さん(70)の協力で、整理していて見つかった。 瓦版は「江戸大地震並出火附」の見出しで、記事は「安政2年10月2日夜、にわかに大地震が揺りだし、千住宿大半揺り崩し、小塚原町残らず焼けた」