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認知科学に関するtnakamrのブックマーク (31)

  • ベイズ脳のサンプリング説を扱った論文を紹介してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    最近、ある認知科学の論文を読んでいたら、このような文章に出会った。 広く知られるように近似ベイズ推論において変分推論とマルコフ連鎖モンテカルロ法は二つの代表的な理論であるが,今のところ集合的予測符号化の数理モデルはマルコフ連鎖モンテカルロ法に基づいてしか理論化されていないことになる.しかし,集合的予測符号化を変分推論の視点から定式化することが不可能であると示されたわけでなく,十分に可能性のある方向性であろう. 谷口忠大 「集合的予測符号化に基づく言語と認知のダイナミクス: 記号創発ロボティクスの新展開に向けて」p.200より これはベイズ推論をする上で、自由エネルギー原理が用いる変分法と集合的予測符号化が用いるサンプリング法とで、近似計算法が異なることに対して、統合可能性について述べた部分だ。これを読んで、ベイズ脳について前に書いた記事を思い出した。 ベイズ脳は認知バイアスを説明できるのか

    ベイズ脳のサンプリング説を扱った論文を紹介してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • どこで哲学者チャーマーズは日和ったのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    ここ最近、私はクオリアや強い人工知能についての未だによくある誤解を扱ったブログ記事を書く予定だった。しかし、次にリンクした哲学者チャーマーズが参加したトークセッションについての記事を読んで書く気を失ってしまった。 AIはいずれ“哲学的ゾンビ”ではなくなる──WIRED Futuresで語られた2024〜50年のAIと人間 なぜ書く気を失ったか?というと、チャーマーズが来の哲学的な議論とは相容れない日和った発言をしていたことにガッカリしたからだ。記事の元になった動画は見てないので、もしかしたら勘違いがあるかもしれないが、記事を読んだ感じではそれほど大きな勘違いではないと思った。 チャーマーズは意識のハードプロブレムや哲学的ゾンビの提唱で有名になった哲学者だ。この記事でのこれらについての説明は私から見ても間違ってはいないと思う。該当箇所を記事から引用してみる(以下の引用は全てリンクした記事か

    どこで哲学者チャーマーズは日和ったのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • ディスクレシア(読み書き障害)から考える人類進化の謎 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    しばらくここに記事をあげてないが、ブログに書きたいことはなくもなかった。 例えばハイエクとニューラルネットワークの記事を書くつもりで、めぼしい論文からの引用まではした。感覚秩序の話だけ書いても物足りないのでその先も書こうと計画だけはしたが、そこから進まない。ハイエクの前期と後期を結びつける論文に書けるような話を、軽い気持ちでブログに書こうとしたのに無理があった。他にも、主観と客観(または実証主義と構築主義)の話とかギブソン派の話(アフォーダンスは科学ではなく思想の言葉)とか、書きたい話題はあるが書く気が起きてない。 探索と活用のバランスを探る で、今回書こうとする気が起きたのは、この記事を読んだからだ。 ディスクレシアとは、文字の読み書きに関する障害である。これは珍しい障害ではなくて、実は身近な人や有名人がこの障害である可能性は高い。この障害の人は、学校では苦労することも多いが、社会に出る

    ディスクレシア(読み書き障害)から考える人類進化の謎 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 認知科学における計算主義を方法論的な視点から擁護してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    自分は二十数年前の学生時代に(科学としての)認知科学に魅了されて今に至るのだが、その中で認知科学への無理解な批判には何度も会っている。認知科学を一時の流行とか過去の遺物とか言ってた奴らは、欧米の事情を知らないただの無知なので付き合うだけ時間の無駄でしかない。それよりも頻繁に聞いた典型的な批判がある 人間など生物を、機械的な情報システムとして分析するだけでは不十分なのだ。だが、AIばかりかバイオ技術の関係者も同じ罠に陥り、データ至上主義にたどりつく。 西垣通「巻頭言 人間が神になる未来を阻止しよう」 より これは、この前の第三次人工知能ブームの頃の西垣通の言葉だ。しかし、心は計算できないだの、脳は情報処理装置ではない、といった認知科学批判は耳にタコができるほど聞いた。こうした(主に人文学者が繰り返した)批判は、私からすると科学というものを理解してない見当外れな批判にしか聞こえなかった ただし

    認知科学における計算主義を方法論的な視点から擁護してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 生命と心の連続性を論ずる難しさについて論じてみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    最近、たまたま生命(life)と心の(mind)の連続性についての論文を読んだのだけれど、どちらにも多かれ少なかれガッカリした。生命と心の連続性というとエヴァン・トンプソンの著作が知られているが、どちらの論文にも、トンプソンの著作からの共通の議論みたいのが見られる訳でもなく、それぞれが独自の議論を展開していた どちらの論文の議論も成功してるようには見えなかったが、せっかくなので少しだけ見ていきたい 最近のフリストンの共著論文を濫造しすぎが招いたもの まずは、近年は論文を濫造ぎみのフリストンも共著者の「Examining the Continuity between Life and Mind: Is There a Continuity between Autopoietic Intentionality and Representationality?」だが、これがかなりひどい この論文

    生命と心の連続性を論ずる難しさについて論じてみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 『認知科学第28巻第2号(2021)』解説特集「深層学習と認知科学」 - logical cypher scape2

    TLで論文pdfのリンクが流れてきたので、特集の論文を3つとも読んでみた。 賀沢 秀人「深層学習は認知科学の対象となるか」 深層学習は認知科学の対象となるか 認知科学が対象にするのが、何らかの意味で知的に(ヒト的に)振る舞っているシステムだとした上で、深層学習で作られたシステムが、そのようなシステムかを考えた上で、なお、深層学習と認知科学の関係について提案する まず、ヒト的というのを、観察可能な振る舞いがヒト的という意味で「外的にヒト」と、情報処理のレベルでヒト的という意味での「内的にヒト」とに区別した上で、深層学習で作られたシステムは、外的にヒトだとは言えるが、(部分的に類似しているとはいえ)現時点で内的にヒトとは言えない、とする。 (ところで、深層学習は、初期において人間の脳神経系の仕組みを参考にしていたが、現在はもはや人間の神経系を参考にしていない。この点について、鳥と飛行機の関係で

    『認知科学第28巻第2号(2021)』解説特集「深層学習と認知科学」 - logical cypher scape2
  • 科学は泥沼が面白い? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    今年に入ってから、予測処理論への格的な批判が目立ちつつある。前に紹介したMiłkowskibらの論文("Unification by Fiat")や、既に軽く触れたDaniel Williamsの草稿1、まだここでは紹介してない暗い部屋問題を扱った文章での行動主義理論との比較も興味深い。マルコフブランケットを数理的に批判した論文も見かけた。予測誤差最小化で有名なJakob Hohwyでさえ、最終的には擁護するとはいえ、自由エネルギー原理に不可解で曖昧なところがあることを認めている google:Jakob Hohwy Self-supervision, normativity and the free energy principle。 しかし、こうした批判が増えてきていることは予測処理論にとって不幸なことでなく、それだけ注目されてる証拠でもある。ここを乗り越えられれば、予測処理論は科学

    科学は泥沼が面白い? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 愚痴の後で書きたい記事のアイデアだけを書く - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    以下はただの愚痴なので読み飛ばせ 私がこのブログで書くことはだいたい早すぎて、その時点ではあまり理解されない。 俗流クオリア論批判もその流行りのまっただ中で書いたが、当時は学者も含めて誰も批判する人がいないことに呆れていた。ピンカーやマッド・リドレーなどによる合理的楽観主義についてもかなり早くここで指摘した覚えがあるが、ファクトフルネスが出版されることで最近になってやっと認識され始めた感じがする。ニューラルネットワークを統計として論ずるのも日でもよく見るようになったが、それをここで指摘したのもそれなりに早い。 早い段階で(知識や議論として)正しいことを指摘しても誰も褒めてくれないし、それどころか場合によっては不条理な攻撃に合う。私はこのブログを書いても一銭も儲からないし1、承認欲求もそんなにないので知的欲求のある人だけが分かれば十分だと思ってる。それでも、世間の状況やこのブログの読まれな

    愚痴の後で書きたい記事のアイデアだけを書く - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2021/04/04
     プロではないが、私はこのブログは面白く感じる。情報熱力学は関東に優れた研究者が何人かいるのを知っている。分析哲学について日本が弱いというのはそういう認識がなかった。(アメリカが強すぎるのでは)
  • フリストンブランケットはどんな科学モデルなのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    論文「皇帝の新しいマルコフ織物」 今回、ある程度突っ込んで紹介したいのは、次の論文だ。 google:Jelle Bruineberg Krzysztof Dolega Joe Dewhurst Manuel Baltieri The Emperor’s New Markov Blankets 論文のタイトルは、おそらくペンローズ「皇帝の新しい心」からのもじりだと思う(元々のもじり元があるのかもしれないが私はよく知らない)。共著者に私がここで2010年台のベスト論文に選んだ学者もいたので期待してたが、実際に中身を見てみるとなかなか面白い。 マルコフブランケットとは? この論文では、フリストンの自由エネルギー原理で用いられているマルコフブランケットを検討している。マルコフブランケットとは、ベイジアンネットワークの一種で、物事同士の確率的な関係をつなげて並べたものだ。そのネットワークの図式化が

    フリストンブランケットはどんな科学モデルなのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2021/03/07
     「統計学を哲学する」をcritical readingしていますが、そこで出てくる頻度主義の認識論と共通する考え方だというのがわかります。
  • 郡司ペギオ幸夫と宮台真司の対談からのとりとめのない連想 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    この記事は、(私にしては)全体的にとりとめがない文章なので、そこを承知の上でお読みください。 郡司ペギオ幸夫と宮台真司の対談を読んだのだけれど、一応面白くは読めたけど、認知科学関連に関してはまぁ突っ込みどころが満載であった。素直にはお薦めしにくい。 宮台真司に関しては、私は若い頃のキレキレの宮台は好きだったけど、若者が劣化したとかいう(根拠のない)古代からある凡庸な年寄りの繰り言を近年に繰り返すようになってからは期待しなくなった。とはいえ、日の論壇的なレベルが下がったので、相対的にはまだマシなのは皮肉。宮台真司の学問的な話は眉唾で読むぐらいがちょうどいい。 郡司ペギオ幸夫は、かなり前に読んだ事があって何言ってるか訳が分からないので、それから無視するを決め込んでいる。今回、この対談を読んで、ペギオは現代思想的な関心があるのだと分かったのは収穫。もう科学の振りはやめてしまえば?…とこの対談を

    郡司ペギオ幸夫と宮台真司の対談からのとりとめのない連想 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • Brain Cell DNA Refolds Itself to Aid Memory Recall

    tnakamr
    tnakamr 2020/11/03
    fear-conditioning memory, engram cells, chromatin, Arc
  • 実験室で育てられた脳は意識を持つようになるのか?

    tnakamr
    tnakamr 2020/11/02
    脳オルガノイド
  • Reasons Revealed for the Brain’s Elastic Sense of Time

    tnakamr
    tnakamr 2020/10/04
    主観的時間、ドーパミン、prediction error、パーキンソン病(DLB)
  • 自由エネルギー原理が正しいときの奇跡に気づく - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    この前の統一理論としての予測処理理論を批判する論文を読んで以来、疑惑の種が私の中に蒔かれてしまった。その後もいくつか関連記事を読んでるけど、あれ?これは?と言った疑問部分が目に付きやすくなってる。 予測処理理論の関連理論の間の関係がよく分からない 最近、予測処理理論の核概念であるActive inference(能動的推論)を主題にした博士論文を眺めた。体は数理的分析なのだが、その導入となる背景知識の章を読んでたら、論文タイトルに含まれる4e認知の説明がぬるいのにもあきれたが、予測処理関連を含めその他の説明も私には十分に公正なものに思えなかった1。 その論文を読んでいてあらためて感じたが、そもそも予測処理理論の関連した理論(予測符号化とかベイズ脳仮説とか自由エネルギー原理とか)との関係がいまいち理解できない。 でなくとも同じくベイジアンが関連した研究である、GriffithsとTenen

    自由エネルギー原理が正しいときの奇跡に気づく - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2020/09/17
     自由エネルギー原理
  • 汎用人工知能が実現しない理由

    Natureより。 Ragnar Fjelland 概要 人間のような人工知能(AI)を生み出そうとする現代のプロジェクトは、第二次世界大戦後、電子計算機が単なる数値計算機ではなく、シンボルを処理することもできることが分かったことから始まりました。機械知能が人間の知能と同一であることを前提とせずに、この目標を追求することが可能になりました。これは弱いAIとして知られています。しかし、多くのAI研究者は、強いAIと呼ばれる、人間の知能と原理上は同じ人工知能を開発することを目指してきました。弱いAIは強いAIに比べて野心的なものが少ないため、論争を引き起こすことはありません。しかし、弱いAIにも関連する重要な論争があります。この論文では、汎用人工知能(AGI)と特化型人工知能(ANI)の違いに焦点を当てています。AGIは弱いAIとして分類されるかも知れませんが、人間の知能の主な特徴の一つが汎用

  • pooneilの脳科学論文コメント: グレゴリー・ベイトソンの「形式、実体、そして差異」をまとめてみた

    ■ グレゴリー・ベイトソンの「形式、実体、そして差異」をまとめてみた 北海道大学の人間知・脳・AI 研究教育センター(CHAIN)の教育プログラムを作っていくところでわたしが密かに構想していたのは、グレゴリー・ベイトソンの「精神と自然」にあるような「サイバティックな認識論」を現在の科学の水準のもとで再構成するということだった。 「精神と自然」についてはこのブログの初期にサマリを作ったことがある:グレゴリー・ベイトソン(Gregory Bateson)の「精神と自然」まとめ これを作成したのが2000年8月のことで、まだ私はPh.D.を取得する前の過酷な実験生活に合間を見て書いたもので、それが巡り巡っていまここに戻ってこようというのだから感慨深い。 でもたとえば、Chap.2の「4.イメージの形成は無意識過程である」なんて見たら、ヘルムホルツ的視覚観じゃん!とか思うけど、フィード

  • ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    認知科学そのものについては、何をどこから記事に書けばよいのやら途方に暮れつつあり、どうも書く気が起こらない。そもそも最近は認知科学そのものよりも別のところに興味を持ってしまい、その内容を自分のための整理とメモも兼ねて記事に書いてもいいかな〜と思う一方、それを公開してどうする感もなくもない。 学習機関における統計力学の位置 一つは、まだアイデアの域はそれほど超えないが、学習機関における統計力学の話題がある。 ニューラルネットワークや自由エネルギー原理のように統計力学の考え方が生物や機械の学習機関に適用されている。しかし、もし学習機関に文字通りに統計力学が当てはまるなら、もともと統計力学が適用されている外部の物理的な環境との差がなくなってしまう。 もちろん生物と環境には振る舞いに違いが観察されるので、どこかに問題があるはずだ。それは学習機関は文字通りの統計力学そのものが当てはまるのではないこと

    ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • pooneilの脳科学論文コメント: 熱力学の再勉強中。

    ■ 熱力学の再勉強中。 ここ最近Fristonの自由エネルギー原理FEPについて自分で勉強したり、各地で講演したり、生理研でチュートリアル・ワークショップを開催したり、とさまざまな活動をしてきた。 FEPでは、ベイズの法則による事後分布の計算を変分ベイズでやるために情報理論で言うところの「変分自由エネルギー」を最小化する。(機械学習ではELBO evidence lower boundという呼び名のほうが浸透しているだろう。) FEPが興味深いのは、環境と相互作用するagentの内部状態がどのように時間発展してゆくかを決定づける変分原理としての役目を果たすかもしれない、という点だ。この点がFEPの特異かつ怪しい部分であって、もしFEPがただの「ベイズの事後分布の簡便な計算法」であるならば自由エネルギー「原理」と銘打つ根拠がない。 先日京大・生命科学の田直樹さんが企画した国際シンポジウム

  • ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    2010年代に入ってからしばらく経ってからだと思うのだが、はてなハイクにこれからの心の科学(認知科学)で重要となる研究テーマを予測した覚えがある。確かそれは脳の系統発生と個体発生がこれから(2010年代に)心の科学的研究で推し進められるべきだと書いた気がする。 2010年代の認知科学への予測の答え合わせ そう思った理由はたしかこんな感じだ。それまでの00年代には進化心理学と認知神経科学(脳イメージング)が流行っていた。しかし、そのブームも行くとこまで行き着いたら行き詰まるだろう。なら、次に認知科学的に重視されるべき研究領域はなんだろうかと考えた。同じく進化論でも進化心理学が適応論を強調していたのに対して、これからは系統発生に注目されて色んな動物の認知(心)が研究されるだろうと予測した。さらに、脳の研究は流行っているが、これからは脳の発達的研究が未知の領域として経験的に研究可能になるだろうと

    ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • Prediction and memory - How Emotions Are Made