「大造じいさんとガン」など小学校の教科書に採用されている作品が多い児童文学作家の椋鳩十(むく・はとじゅう)=1905~87年、本名・久保田彦穂=。孫の久保田里花さん(51)=鹿児島市=は、祖父の作品を後世に残そうと活動を続けている。祖父はなぜ動物で児童文学を書いたのか。久保田さんには、今だからこそ伝えたいことがあった。【宗岡敬介】 「生きるということはどんなに大切かを書いている」。鹿児島県姶良(あいら)市立重富小学校で2月16日、久保田さんは5年生約90人にこう語りかけた。これから「大造じいさんとガン」を授業で教わるという子供たちは、久保田さんが話す椋の人柄や、動物児童文学が生まれた背景に耳を傾けた。 椋の次男の長女にあたる久保田さんは「本当に優しいおじいちゃんだった」と振り返る。幼少期は冷蔵庫から牛乳やチーズを出してアニメ「アルプスの少女ハイジ」をまねて一緒に遊んでくれたり、膝の上に抱っ