2012年03月18日19:47 カテゴリNHK杯羽生善治 2012NHK杯決勝 羽生NHK杯vs渡辺竜王 まるで二日制のタイトル戦で二日目の朝に初日の棋譜を再現するかのように、羽生善治と渡辺明が淀みなく指し続けていく。違いは読み上げているのが記録係の三段ではなく女流の藤田綾であることだけだ。彼女の読み上げでリズムを取るかのように、指し手が読み上げられると、ほとんど間髪をいれずに二人が指し続ける。 しかし、これは初日の指し手の再現ではなく、NHK杯の決勝なのだ。まるで儀式のように淡々と指し手が進んでいくが、画面からは異様な緊迫感が伝わってくる。一体どこまで指し手が進んでしまうのだろうか、どこで止まるのだろうか。所作の静かさとは裏腹に、二人の間で眼に見えない猛烈な火花が散っている。見ている我々も猛烈な胸騒ぎがする。 しかし、さすがに前例のある将棋だ。二人には因縁の過去のある形である。一昨年の