そういえば私もワタナベ以来恋愛に縁がないね。彼女はそう言い、私はとりあえず荷物を網棚に収め、それから訊いた。ちょっと、ワタナベさんの後につきあってたタシロさんと、あとほら、ヨシくんの立場はどうなる。 うん、その二人もちゃんと彼氏だったよ、でもそれは恋愛とは少し違う気がするんだよね。彼女はそう言い、窓際に座っていいよと言った。私たちはささやかな休暇をとり、特急列車に乗って涼しいところへ行こうとしていた。 べつに不真面目につきあってたわけじゃなくって、ただ、彼らとはただ楽しく過ごしただけで、なんというか、そこに必然性みたいなものはなかったし、強い執着もなかったと思うんだ。それは彼らが悪いというのではなくて、うまく言えないんだけど、私はいろいろあって二十七、八で人間ができあがっちゃった気がするのね。 私はうなずく。私は十五のときから彼女を知っているけれども、たしかにそのあたりで彼女はさまざまな経