2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公は北条義時である。ドラマで彼がどう描かれるかはさておき、歴史学の立場からの評価を解説しておきたい。 教科書的には「北条政子の弟で、承久の乱の時の鎌倉幕府執権」といったところだろう。しかし私に言わせれば、北条義時は「鎌倉幕府、ひいては武家政治を完成させた男」である。 「イイクニ」ではなく「イイハコ」? 北条義時が鎌倉幕府を完成させた男だと述べたが、そもそも鎌倉幕府はいつ成立したのだろうか。 年配の方なら「いい国(1192)つくろう鎌倉幕府」という語呂合わせを覚えたのではないだろうか。少し歴史に詳しい人なら「最近はイイクニではなくイイハコ(1185)に変わった」と言うかもしれない。 1192年とは、源頼朝が征夷大将軍に任官した年のことである。通常、幕府のトップは征夷大将軍であるから、この年に幕府が成立した、という説は分からないでもない。だが
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