【『月刊潮』2004年2月号】 「新潮ジャーナリズム」の罪と罰 史上最高額の賠償命令 「熊本保険金疑惑報道」にみる人権侵害の手法。 新潮社の雑誌が断罪され続けている。わずか1年間で19件の敗訴、損害賠償額も累計6000万円にのぼるという。その背景には、無責任としかいいようのない取材体制とともに、売れるなら何を書いてもいいという身勝手な編集方針がある。中でも今回取り上げる熊本の事件は、近年まれにみる「悪質事案」だ。新潮社がどのようにして取材を行い、どのような「報道被害」を垂れ流してきたか、以下明らかにする。 ■「世紀の虚報」のきっかけ 「FOCUS」最後の編集長となった山本伊吾(57)は、自分がゴーサインを出して進めた取材がもとで、結果的に3000万円もの損害を会社(新潮社)に与えることになろうとは予想もしていなかったに違いない。まして複数の訴訟を引き起こし、雑誌休刊の一因になろうとは‥‥。