補陀落渡海船 那智参詣曼荼羅。最下部右側に補陀落渡海船を描く。渡海船の上の寺院が補陀洛山寺。 補陀落渡海(ふだらくとかい)は、昔の日本で行われた、仏教の宗教行為。観音菩薩の浄土である補陀落山への往生を願い、海上へ船出する。補陀落山は南にあると考えられたため、特に中世の熊野や土佐から出発した例が多い。事実上命を落とす行為であり、重石を身に付けて入水したり、船に穴を空けて沈めたりする場合もあった。のちには亡くなった僧侶を船に乗せて送り出す水葬の一種としても行われた。 南方に臨む海岸から行者が渡海船に乗り込み、そのまま沖に出るのが基本的な形態である。伴走船2隻とともに3隻で船団を組む場合もあり、伴走船が沖まで曳航してから綱を切って見送る。 命を投げ打つ覚悟で行うものであり、渡海船に窓や扉はなく、乗船後外から釘を打ち付けたという。ほとんどの場合餓死あるいは沈没死したが、琉球諸島に漂着し生きながらえ