「顔を上げて」「手はポケットから出して」「『あー』は言わない」。ニューヨークのエリートプライベートスクール、スパイヤーレガシースクールのディベートクラスでは教師のラドリー・グラッセー氏が檀上の生徒に矢継ぎ早に、指示を飛ばしていた。 生徒がひとりずつ国の代表に扮する模擬国連のクラス。この日は、気候変動をテーマに〝各国代表″が激しく舌戦を繰り広げていた。「議定書の決定に従わない国には制裁措置をとるべきだ」「いや、逆に順守した国にインセンティブを与えるべきでは」など、それぞれが理路整然と自らの〝国″の主張を展開する。それに対し、グラッセー氏は、機関銃のような語り口で論点を整理しながら、「なぜ、そう言えるのか」「なぜ、その必要があるのか」など質問を畳みかけていく。とにかく早口だ。 論理的思考はロジカルな「話し方」から グラッセー氏は大学でディベートチームに入り、その魅力に取りつかれた。役者向けのボ