小黒さんたちからは「片渕さんは東映系」といわれてしまうのだが、自分自身今となっては全然実感がない。大泉のスタジオがなくなろうとも、そもそも1回だけチラッといったことがあるきりの場所なので、実感につながった感慨が湧いてくるわけでもない。1回だけ行ったのは大学生の頃、まだ東映動画の研究開発室にいた池田宏先生に卒論だか単位だかの相談にいったときのことだった。 そうだ、昔からそうだったわけではなくて、映画学科に東映動画演出の池田宏という方が講師にいる、というのは入試を受けるときの選択基準にはたしかになっていた。入学してみたら、その年から月岡貞夫さんも講師に加わられていて、得をした、と思った。 自分も学校で教えるようなことになった最初は、『アリーテ姫』が終わった頃に、4℃のプロデューサー田中栄子さんから、「監督は人前で喋り慣れてる方が何かといいと思うし、そのためには教壇に立つのもいいんじゃないかと思