ーー『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビューしますーー。 今回の番組:2月24日放送『情熱大陸』(TBS) カメラは鶏の首を持ち、ナイフを刺す生徒たちの表情を追う。嗚咽し、涙を流す少女たち。覚悟を決めた力強い意志を感じさせる男子生徒。そして、順番を待ってはいるものの、一歩を進めることさえ困難そうな塚本さん……。 この日の『情熱大陸』は福岡県立筑水高等学校の真鍋公士教師が主役だが、ディレクターの視点は彼女に向いていた。真鍋教師を軸に進めつつも、彼女の成長もしっかりと追う。そのように構成することで、番組の視点が視聴者に近くなる。そして首を切られる鶏を一切、映すことなく、しかしそれを見る生徒たちの表情を捉えることで、制作者が何を伝えた