大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の長期的な変動を理解するためには、人為的に排出されるCO2(工場や自動車から排出されるCO2)や、植生の呼吸によるCO2排出・光合成によるCO2吸収の影響をほとんど受けない地点(たとえば太平洋・インド洋・大西洋の中央に位置する小さな島や南極など)での大気中CO2濃度観測が必須です。他方、大気中CO2濃度の増加あるいは低下に寄与する要因(たとえば大都市が集合する地域あるいは森林が広範囲に分布する地域など)の近くでの大気中CO2濃度観測は、それらの要因の変動を検証できるため、今後の大気中CO2濃度の予測に重要です。 日本や中国を含む東アジア中緯度は、人為的に排出されるCO2量が世界で最も多い地域のひとつで、かつ夏期における植生によるCO2吸収が盛んな地域です。そのため、この地域のCO2の排出および吸収は、全球の炭素循環に強い影響を与えていると考えられています。