数年前の某学会で、私はA氏が司会を担当するB氏の研究発表を聴いた。 以下の事件描写は、当時の自分の日記に依拠したものである。 発表主題は、○○(過去のある人物)をどう評価すべきかということについてだった。 さほど刺戟はなかったが、深く考えられていない問題について叮嚀に再考しようとする、私にとっては好感の持たれる発表だった。 発表途中、発表者のB氏が 「この時、○○はこう述べました」 と言うと、あろうことか司会のA氏が 「それは違う。 ○○がそう言ったのは後年のことだ」 と発言した。 発表者B氏は 「いえ、私は○○が当時そう述べたことをこの目で読んで知っています」 と応じ、司会A氏も一歩も引かず、言った言わないの水掛け論になった。 すると、聴衆として会場にいた研究者C氏が割って入り、 「議論は質疑応答の時間ですればよいでしょう」 と取り成して発表は再開された。 発表が終わると、質疑応答に移る