古文総合に関わるもの 1『ボーダーを超える古文』(栗原隆/駿台文庫/1997) 2色刷りのイラストととっつきやすいしゃべり口調という甘口の外見を持ちつつも、語源論や音韻論にまで踏み込んだ広汎な内容を押さえている。前半にある各助動詞の意味説明のわかりやすさは出色。後半の読解編はやや高度で、ときに芸術哲学的内容まで含んだ快(怪)書。パソコン用語をはじめ、カタカナ語をふんだんに使って古文を語るという手法自体が斬新であり、一読に値する。初級者から上級者まで、レベルに応じた読み方で役立てたい本書は、何だかんだ言っても、総合参考書としては、今のところ最上のものではないか。ただし、難関大志望でない人には、例文が難しいかも。 →なお、余計なことながら、同書は、『日本語の文法/古典編』(大野晋/角川書店/1988)という教師向けQ&A解説本のパラフレーズ(悪く言えばパクり)的な本と