→紀伊國屋書店で購入 「終わってしまった歴史のなかに希望を感じる」 法政大学出版局による味気ない装丁の専門書的な雰囲気、400頁を超える分厚さ、そしてユダヤ人学者同士の往復書簡というマニアックな内容など、本書を包み込んでいる秘教的な雰囲気(オーラ)は、最初から多くの読者を遠ざけてしまっているように思う。いや確かに常識的に考えれば、本書はベンヤミンやショーレムの著作に慣れ親しんできた一部の専門家や好事家だけが、彼らの思想的背景をより深く知るために読むような専門書ということでよいのかもしれない。しかし私は、そんな扱いではあまりにもったいない気がして仕方がないのだ。むしろ本書は、知的好奇心があってベンヤミンの著作を開いてはみたものの、その難解さと読みにくさを前に挫折してしまったような多くの読者が読むべき、彼らの思想への入門書的な役割を果たすユニークな、面白い書物だと思う。 何が一番「面白い」のか