誰かを好きになると、好きになればなるほど失うことを考えてしまう。それは関係が破綻することもそうだし、その人や私が明日死ぬかもしれないことだったり、たとえ命がなくならなくても、何か抗いようのない天変地異や人災や社会情勢に巻き込まれて、好きな人に会えなくなることを考えずにはいられない。世界の理として、生き物として、仕様がないのはわかっていても、明日にはその人や私が死ぬかもしれない可能性っていうのが常にあること、そのとき私は隣にいられないかもしれないっていうことを考えると、本当に哀しい。それは逆にいえば、私と好きな人がこの現実の世界で生きているという素晴らしい事実の証で、「私たちが死ぬかもしれない」ということは、「私たちは生きている」という事を指し示す唯一の光なんだっていうのも分かっている。でも「好きな人が好きだ!!」っていう感情を覚える時、わたしはそういう恐怖や不安とも戦わずにはいられない。