細野晴臣と鈴木惣一朗が語り合う、『録音術』のツボ「『できちゃったものは仕方ない』というのが、僕のやり方」 鈴木惣一朗著『細野晴臣 録音術』(DU BOOKS)は、間違いなく労作だ。だが同時に、もしこれを音楽の録音に興味がある人が読む専門書とするならば、これほど不思議な一冊もなかなかないだろう。 “録音術”と書いてあれば、たいていの読者は「あのとき、あのアルバムでこういう機材でこんな作業を行った」という類の実証的な証言や資料を期待する。もちろん、そうした作業面、資料面でのリサーチも行われてはいるのだが、本書がより明確に焦点を当てているのは、細野とのレコーディングに付き合ったレコーディング・エンジニアその人たちがどんな出自で、どんな性格で、そのとき何を考えながら仕事をしていたのかを探るというもの。1972年の『HOSONO HOUSE』に始まり、2013年の『Heavenly Music』に至