招かれて向かう道で猫と目が会った。 私と猫、どちらも目をそらさない。 そのまましばらく時間が止まった。 どれくらい経ったか、また時間が動き出し、猫は少し後ずさりした。猫が動いたから時間が進み出したのかもしれない。 私はちらりと自分の足元を確認し、そして右足を一歩踏みだした。 その気配を感じたらしく猫はさらに後ずさりした。 猫の目は相変わらず私の目を見ている。私の目も猫の目を見ている。猫は私の目に映った猫自身の目を見ている。猫の目に映った猫自身の目を私も見ている。 それは無限に続く。 私はコマ送りの動きで左足も一歩踏みだした。 猫はもう動かない。猫の背に深い谷があった。 猫は尻尾をピンと立て、背中の毛も逆立てた。 そして頭をゆっくり下げて腰を上げ、前足に重心を移した。目はまだなお真っ直ぐに私を見ている。 上から何か落ちてきた。 私も猫も同時に首をすくめ、目線だけ上に向けた。 それからずっと
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