「美味しんぼ」雁屋哲さんに申し上げたいこと 前後関係と因果関係の峻別、メディアで働く者の責任 高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター 「美味しんぼ」作者の雁屋哲さんの大型インタビュー記事が5月6日付け北海道新聞に掲載され、ツイッターなどで議論がわき起こっている。記事は「『鼻血騒動』に反論する」という主見出しで、「解明されていない事象を風評として片付けず、議論しよう」「表現の自由 日本人全体が萎縮しているように感じる」という脇見出しがついている。放射線の影響について悩みながら記事を書いてきた記者の1人として、雁屋さんに一言申し上げたくなった。 「鼻血騒動」とは、2014年4月に発売された週刊ビッグコミックスピリッツ掲載の「美味しんぼ」で、福島第一原発を訪れた主人公が鼻血を出し、地元の人が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」「福島はもう住めない」などと語る場面が描かれ、編