読み始めてから大体2ヶ月間、僕は主人公を通して19世紀末のイギリス、フランスの世界を体感していた。主人公の名は、「フィリップ・ケアリ」。生まれつき足に障害があり、ナイーブでお人よしな青年だ。その青年の9歳から30歳までの人生が濃厚に示されていた。 この作品で500冊目の書評となる。僕がこの作品を500冊目に選んだのには、きっと大きな意味を持つことだろう。それほどに、僕に与えた影響は大きい。たぶん、この書評ブログ以前の読書遍歴を含めても、間違いなく5本の指に入る本になるだろう。そう、この本は、僕の人生を変える本だと言っても過言ではない。なぜならば、この長大な教養小説のテーマは、以下のようなものだからだ。 『人生に意味はあるか?』 そして以下の部分を引用しておこう。フィリップは迷った、そして自問した、もしこの道徳律が役に立たぬとすれば、いったいどんな道徳律が人生にはあるのだ、そしてまた、なぜ人