「辛口ください」 この言葉は、日本酒を扱う飲食店や酒販店で働く提供者にとっての悩みの種として、ネット上でもたびたび話題となり議論が交わされてきました。「辛口を注文していた人が実際に求めていた味はフルーティーな香りのあるお酒だった」など、この「辛口」という言葉から連想される味わいは、消費者と提供者ですれ違いが存在しています。雑誌等のメディアでも、これまでさまざまな立場の人々が「辛口」に関する知見や意見を述べてきています。それらを見聞きしてきた人は日本酒の「辛口」について理解を深めてきたかもしれません。 しかし、依然としてこの悩みは解決への道筋が見えていません。日本酒を選ぶうえでの常套句とされてきた言葉が、消費者にも、提供者にも、ひいては製造者にも共通の問題意識として残り続けているのです。 この「辛口ください」問題を生んだ原因に目を向けていくと、これが一筋縄では解決しないものであることに気が付