「上級国民」 そんなネットスラングがしきりに飛び交った。東京・池袋で母子が乗用車にはねられ死亡した事故で、運転者が逮捕されず任意捜査が進んだことをめぐってだ。 運転者は元官僚。旧通産省工業技術院元院長という経歴だから逮捕されないのでは、という臆測が語られた。メディアが通常のように「容疑者」と報道せず、肩書や「さん」づけで伝えたことが「炎上」要因となったようだ。 こうしたバッシングについて、格差社会を専門に研究している橋本健二・早稲田大学教授はこう指摘する。 「社会活動家の声など一時期よりは建設的な意見が増えてきたが、ほとんどは意味がない。政策の変更を求めることもなく、社会的な公平性を実現するのに役に立っていない」 同じようなバッシングが拡大している背景への分析はこうだ。 「ネットの普及で世の中の人たちが、社会全体から見た自分の立ち位置をより把握できるようになってきた。いわゆる階層リテラシー