今からおよそ30年前、アニメーションの巨匠・宮崎 駿さんが漫画を描いています。 タイトルは「最貧前線」、わずか5ページの作品です。 舞台は太平洋戦争の末期。 「特設監視艇」という任務に当てられた漁船がモデルです。 「特設監視艇」は日本軍が漁師ともども送り込み、敵の動向を「目視」で確認させようとした船で、いわば “人間レーダー” でした。 木造の貧弱な漁船が太平洋の沖合でアメリカ軍の偵察を担う。 その姿を描いた漫画のあとがきで、宮崎さんはこうつづりました。 「“なんとか犬死にをしないで、また魚をとるんだ!”っていうね、そういう人たちが出てきてそれを全うする話をね、僕はやってみたいと前から思っていたんです」