●脳と記憶記憶とは脳の海馬領域で保持されている。 だとすればそれはどういう物質として保持されているのか。 それを求めて30年ほど前は様々な研究者が「記憶物質」を求めて研究していた時代があった。 ベイラー大学のアンガー博士はネズミを使った実験によって、「スコトフォビン」というペプチドからなる物質があるという仮説を立てた。 しかし結局1977年にアンガー博士が亡くなるまでスコトフォビンの存在は証明できず、彼の死とともに記憶物質への探求は途絶えた。 人間の体は常に代謝し続けている。食べたものはすぐに体の構成物質となり、また身体から抜け出していく。だから常に生命は生々流転している。(もちろん生命だけではなくあらゆる物質がそうであるが。) この生命観は釈迦は2500年前から唱えていたが、ルドルフ・シェーンハイマーによって生命現象とは「動的な分子の平衡状態」であるということが明らかにされたときに決定的