楽天ジャパンオープンの話題で日本が賑わっているそのころ、遠く離れたウズベキスタンの首都タシケントで、ひとりの日本人女子選手がWTAツアー初優勝を成し遂げた。 日比野菜緒――。日本人女子史上わずか8人しかいないツアー優勝者リストに、9人目としてその名を刻んだ20歳である。 日本人女子選手として9人目のWTAツアー優勝を果たした日比野菜緒 とはいえ、おそらく日比野の名はよほどのテニスファンでなければ、今回の優勝まで耳にする機会は少なかったに違いない。今季開始時の世界ランキングは213位。グランドスラムの出場経験はなく、今年8月の全米オープン予選3回戦がもっとも本戦出場に近づいた瞬間であった。 ただ、「日比野菜緒」の名前に聞き覚えのない人たちでも、その名の由来となった人物なら、おそらく良く知っているだろう。 沢松奈生子――。元世界ランキング14位、1990年代日本女子テニスブームの中核選手。日比