1:城郭都市 いまさら確認するまでもなく、非実在云々という概念がある。言うまでもなく、児童ポルノ禁止法、「表現の自由」等々、もはや聞き飽きた議論に関わっている。ここではマンガを例にとる。 「表現の自由」の擁護者は、マンガを純粋なイメージの産物と捉える。すなわち、そこに実在の被害者が存在しないがゆえに、彼らにとってマンガは常に無罪であり、無垢であり、(それがいかに野蛮な内容であれ)本質的に健全ですらある。例えば、『エロスと「わいせつ」のあいだ――表現と規制の戦後攻防史』(朝日新書)では、児童を被写体にしたいわゆる着エロは、被写体になった児童の人権を守るという観点から規制されるべきであり、児童に対して性的虐待・搾取を行い、それを記録し、表現する自由などは存在しないという主張がなされたあと、次のような記述が続く。 しかし、純粋なイメージ、想像の産物である漫画については、性的倫理に反するからといっ
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