この春、サッチャー政権当時の財務大臣であるナイジェル・ローソンが著した『An appeal to reason, a cool look at Global Warming』(理性に訴える……冷静に見た温暖化問題)は、温暖化問題について各種文献を基に検証を加え、理性的な議論を訴える内容となっている。前編では、温暖化の検証からIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の問題点へと話題を拡げてきたが、今回は「ポスト京都」をにらんだ削減策のあるべき姿についてローソンの考えを紹介する。 ローソンは、温暖化は地球規模の問題なので地球規模の対策が必須だと考える。特に、中国やインドなど急激な成長を続ける主要途上国の協力は不可欠である。中国などは、毎年の排出増加量が英国全体の排出量を超えているのだから、なおさらである。しかし、中国やインドの首脳の発言から推察する限り、経済成長抑制につながる国全体の排出上限値