ジョン・ダワーは『敗北を抱きしめて』の中で、パンパンを始めとする占領下の日本人たちがアメリカに魅せられたのは、その豊かで快適な生活ゆえだと述べていた。それはアメリカ的消費社会を体現しているからだと解釈できよう。占領時の日本は第一次産業就業人口が五〇%近くを占める、まだ農耕社会であった。 私は一九九七年に著した 『〈郊外〉の誕生と死』(青弓社、増補版 論創社近刊)において、太平洋戦争がアメリカという消費社会と日本という農耕社会との戦いであり、八〇年代になって日本が占領時のアメリカとまったく同じ産業構造となり、消費社会化したことで、占領の完成を見たと書いた。その詳細は拙著を参照してほしいが、アメリカこそは戦前からの世界に先駆けた消費社会だった。 消費社会を一言で定義づけることは難しいけれども、その第一の指標は第三次産業就業人口が五〇%を超えたところに求められると言ってもかまわないだろう。その指
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