新世紀エヴァンゲリオン。 エヴァは、がちがちのオタクだけに限らない、世間一般とも共通する“気分”を上手く掬い取ったからこそ、あれだけヒットし、沢山の人を揺さぶったのだろうと思う。そして作品の後半パートには、多少崩壊気味ではあったにせよ、庵野監督から視聴者に対する強いメッセージが込められていたとも思う。「他者との出会い」というメッセージが。 あれから十年以上の月日が流れた2008年。私達は、庵野監督のメッセージから遠く離れた場所に到達してしまっているような気がする(オタク趣味の有無に関係なく)。私達は、コンテンツを通して、または日常的なコミュニケーションを通して「他者と出会っている」というよりは、益々「他者から遠ざかっている」のではないか。エヴァンゲリオンという作品を過去のものとしたがっている人は多いけれども、じゃあ私達がエヴァが示した地平を超克した新世紀を迎えたのかといったら、全くそうでは