ウクライナ戦争開始から7カ月が経過するなか、国連職員や日本政府特別代表として世界各地の紛争地で武装解除や停戦調停役を務めた経験を持つ伊勢崎賢治・東京外国語大学教授(紛争予防・平和構築学)が16日、「ウクライナ危機から学ぶ日本の安全保障と国際平和」と題する講演(主催/社会福祉法人あさか会)をおこなった。講演の要約を紹介する。(文責・編集部) ◇ ◇ 戦争では多くの人が亡くなる。戦争体験はファミリー・ヒストリーとして次世代に受け継がれる。おそらく個人の戦争に対する考え方はそこに左右されるだろう。 僕は国連や政府代表として現代の戦争をいろいろ見てきたが、ファミリー・ヒストリーとしての第二次世界大戦の体験がある。場所はマリアナ諸島サイパン。伊勢崎家はサイパン玉砕で、私の母と祖母、弟(叔父)など数人をのぞいて全滅した。もともと伊勢崎家は小笠原が本籍地だが、国の南方政策に従って一族郎党
