「種の保存あるいは種族維持のために生物は進化した」という俗説が、未だに一般的に広く語られています。進化生物学のなかでは、この考えは受け入れられていません。本稿は、この俗説のどこが正しくないのか、について解説しました。 補足として、生物学者でも誤解が多い「生物の死の進化」と「有性生殖の進化」についての簡単な解説も載せました。 本記事を修正・加筆した記事が、以下の新書の第3章に収録されています。 レミングの集団自殺? レミングとは、主にツンドラ地域に生息するネズミの仲間で、3年から4年周期で個体数が急激に増減することが知られている。特に、レミングイヤーと呼ばれる年には、その数は激増し、集団移動をすることがある。この集団移動の時に、多くの個体が海に飛び込み「集団自殺」をするという"迷信"が広まった。この迷信の原因の一つが、1958年に制作された「白い荒野」というディズニーの映画である(ムービー1
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