たとえば、宇宙から「単純労働してくれる生物」が大量に飛来したとしよう。食物を与えずとも、生命は維持できるとする。難しいことは出来ないがバイトレベルの単純労働ならやってくれる。 この宇宙生物は人類を豊かにしてくれるだろうか。マクドナルドの店員の大半はこの宇宙生物になるだろう。価格も大幅に下がる。単純労働に割かれていた人件費が革命的に圧縮されるのだ。 だが、そういう宇宙生物がいたら、たいていの人は貧困に陥るだろう。経済は交換によって成り立っている。交換の輪に入れない失業者は経済からハブられているということだ。多くのスキルのない人は、宇宙生物に単純労働を奪われ、難しい技能のある人だけが生き残る。 仮に地球の人口が非常に少ないとする。だとしたら、それぞれが王様になって、労働はその宇宙生物に任せればよい。だが、この大地には人間がひしめき合っている。自分の狭い家を除いては、誰かの私有財産である。もしく