花柳界向けに東京都墨田区が行ったPCR検査。検査能力は徐々に拡充されているが「いつでも、どこでも、何度でも」という状況にはほど遠い (c)朝日新聞社この記事の写真をすべて見る 感染が不安だ。だが希望してもPCR検査を受けられない。そんな状況が今も続く。背景には戦前から続く「医療」と「衛生」の分断や、官僚の利権意識がある。AERA 2020年8月24日号で掲載された記事から。 * * * 「自治体の現場を知る者として申し上げたいのは、(PCR検査は)絶対に増えない構造になっています」 8月4日に日本記者クラブで記者会見した東京都世田谷区の保坂展人区長は、新型コロナウイルスのPCR検査の拡充の難しさについてこう述べた。 同区の人口は都内最大の約92万人。7月末までに約1千人の区民が感染した。最近では家庭内、職場内での感染も広がっているという。保坂区長は、検査の拡充が難しいとは認めつつ、それ