今年8月、奈良県天川村からトラフグが初めて出荷された。海のない奈良県で、なぜ海水魚であるトラフグが獲れるのか。山奥でトラフグの養殖をする下西勇輝さん(27)の挑戦を、インタビューライターの池田アユリさんが取材した――。 フグ科のなかで最も高価な「フグの王様」 奈良の市街地から車で約2時間。“酷道”とも呼ばれる国道309号線の急カーブをいくつも経て、奈良県天川村てんかわむらにたどり着いた。車を降りると、森が迫ってくるような感覚になる。 人口は1300人ほどで、65歳以上の高齢化率は51.04%(10月1日時点)の小さな村だ。この山深い里山から、今年8月、養殖された高級魚「トラフグ」が初出荷された。 トラフグとは、フグ科のなかで最も高価であることから「フグの王様」と呼ばれており、主に日本海や東シナ海などに生息している海水魚だ。それが海なし県である奈良で立派に育った。 卸した数は124匹。体重約
![海のない奈良から「高級トラフグ」を初出荷…関西の秘境・天川村の未来を託された27歳の挑戦 「3000匹が全滅する夢でうなされることもある」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/15eac7e8806a9411982169318b41da8d0ad68639/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpresident.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fe%2F8%2F1200wm%2Fimg_e89d6d18b100c27b5f1098f2d1ad9282526716.jpg)